こんにちは。京都府京都市左京区にある医療法人社団 京都下鴨ライフ歯科・矯正歯科・小児歯科です。
インプラント治療では、顎の骨が基盤となります。失った歯の根の代わりとなる金属製の歯根を顎の骨に埋め込んで定着させるため、顎の骨の量が治療の結果を大きく左右するのです。
顎の骨が少ない場合、骨造成という処置が必要です。
ここでは、インプラント治療で骨が少ない場合に行う治療や費用、注意点について解説します。
目次
顎の骨が少ないとインプラント治療は受けられない?
インプラント治療では、顎の骨に穴を空けて歯根の代わりになるインプラント体を埋め込み、その上に人工歯を被せます。そのため、顎の骨には適度な厚みや高さが必要です。
しかし、顎の骨の厚みや高さには個人差があります。生まれつき顎の骨が少ない場合、そのままインプラント治療をすることは難しいです。インプラントと骨の結合が上手くいかず、治療後にインプラントが抜け落ちるリスクがあるからです。
以前は顎の骨が少ない場合、インプラント治療を断られるケースもありました。近年では、技術が進化したことで、顎の骨が少なくてもインプラント治療は可能になっています。
そのままでは治療できませんが、骨造成と呼ばれる骨の量を増やす治療を行うことで、インプラント治療が受けられるようになります。
顎の骨を増やす治療とは?
顎の骨を増やすための治療である骨造成には、複数の種類があります。顎の骨の状態によって適切な治療方法は異なります。
GBR法(骨組織誘導再生法)
GRB法は骨組織誘導再生法と呼ばれる方法です。骨が不足している部分へ自家骨や人工骨、骨補填材など注入します。そして、メンブレンという膜を被せて骨の再生を誘導します。
GBR法はインプラント治療の前に行われ、骨の再生に4~6か月程度の時間が必要です。GBR法は、顎の骨の高さや厚みが不足し、インプラントを十分に固定できないようなケースに適応されます。
ソケットリフト法
ソケットリフト法は、上顎の骨を再生させる治療法です。インプラントを挿入する箇所に穴を空け、人工骨や骨補填材などを注入します。そのまま3か月程度待ち、不足していた顎の骨を再生させるのです。
インプラントの埋入を同時に行うケースも多いです。
ソケットリフト法は、上顎の奥歯部分の骨の厚みが3~5mm以上の場合に適応されます。増やさなければならない量があまり多くない場合に行われる方法と言えるでしょう。
サイナスリフト法
ソケットリフト法と同様に、上顎の厚みを出したい場合に行われる治療法です。
ただし、ソケットリフト法よりも広範囲に渡る骨再生を行うケースで適応され、歯茎を切開してから骨補填材を注入します。
サイナスリフト法は顎骨の再生までに6か月程度の時間を要します。上顎の骨の厚みが3~5mm以下の場合に適応されます。不足している骨の量が多い場合に選択される方法です。
遊離自家骨移植術
ボーン・グラフトとも呼ばれる治療法です。重度の歯周病などで広範囲の骨が薄くなっている症状に適応されます。
患者様自身の顎の骨をブロック状に削り出し、不足箇所へ移植します。骨の造成効果の高い外科手術ですが、骨の定着には4~6か月ほどの時間を要します。
顎の骨を増やす治療にかかる費用
顎の骨を増やす治療にかかる費用は、適応される治療法によって異なります。治療ごとの費用の目安は以下の通りです。
- GBR法:1歯あたり3万~15万円
- ソケットリフト法:1歯あたり3万~10万円
- サイナスリフト法:片側につき15~30万円
- 遊離自家骨移植術:1歯あたり5~30万円
歯科医院ごとに費用の設定は異なるため、カウンセリングの際に費用については確認しましょう。
顎の骨を増やす治療は保険が適用される?
インプラント治療を行うための骨造成は、基本的に保険適用外です。そのため、歯科医院ごとに費用が異なります。
基本的には保険適用外の治療ですが、厚生労働省の定める条件を満たせば、保険適用されることもあります。保険適用されるケースは、以下の通りです。
先天的な理由でインプラントを受けるケース
生まれつき顎の骨や歯に以下のような問題がある場合、保険が適用されます。
- 生まれつき顎の骨が3分の1以上連続して欠損している
- 顎の骨が先天的に形成不全であると診断されている場合
- 永久歯が生えてこない先天性欠如歯が6本以上ある
- 先天性欠損歯が連続して4本以上ある
先天的な理由でインプラント治療に保険が適用されるための基準は厳しいと言えます。詳細な判断基準が設けられており、知識ない方が判断するのは難しいので歯科医師に相談しましょう。
後天的な理由でインプラントを受けるケース
生まれつき以外の理由でも、骨造成の治療が保険適用されるケースもあります。主なケースは、以下の通りです。
- 腫瘍や顎骨骨隨炎などの病気が理由で顎の骨が3分の1以上連続して欠損している
- 第三者行為による事故や外傷で、顎の骨が3分の1以上連続して欠損している
- 上記の状態から骨移植を行い、顎の骨が再建された場合
後天的な理由で保険適用を受けるには、医療機関の診断書が必要です。また、欠損範囲によっては保険適用外になることもあるため、歯科医院に相談してみましょう。
保険適用でインプラント治療できる医療機関の条件
保険適用でインプラント治療を受けるには、以下の条件を満たした医療機関で治療を受ける必要があります。
- 入院用ベッドが20床以上ある病菌の歯科、もしくは口腔外科であること
- 当直体制を完備していること
- 歯科又は口腔外科で5年以上の治療経験がある、または3年以上インプラント治療経験のある常勤医師が2名以上配置されている
- 医療機器や医薬品の管理体制が整備されている
患者さまの状態だけでなく、治療を行う医療機関にもさまざまな条件が設けられていることがわかります。
顎の骨を増やす治療を受けたあとの注意点
顎の骨を増やす治療を受けた後には、以下の点に注意しましょう。
痛みや腫れが出ることがある
骨造成の治療後は、痛みや腫れが出ることがあります。痛みがある場合は処方された鎮痛剤を服用してください。抗生物質も処方されるので、細菌感染を引き起こさないように忘れず服用しましょう。
痛みや腫れは通常2〜3日で引きます。それ以上症状がつづく場合や悪化している場合には、速やかに治療を受けた歯科医院へご相談ください。
治療当日は飲酒・入浴・運動を避ける
治療を受けた日は、飲酒・入浴・激しい運動を控えてください。これらは血流が良くなるため、出血や痛みを引き起こす可能性があります。
翌日からは普段通りに生活できますが、1週間程度は安静に過ごしたほうがよいでしょう。
食事に注意する
施術した部位で硬いものを噛まないように注意してください。患部が傷つく可能性があります。
治療当日から数日間は、柔らかい食べものを中心とした食事をしましょう。また、熱い食べ物や辛い食べ物など、刺激のある食べ物も避けてください。
優しく口内ケアをする
歯磨きで患部を傷付ければ、細菌が傷口から侵入して感染症を引き起こす可能性があります。
しかし、口内ケアを怠れば、歯周病や虫歯を引き起こします。患部をブラッシングすることは避けつつ、優しく丁寧に口内ケアを行いましょう。
まとめ
顎の骨が少ない場合でも、骨造成を行えばインプラントの埋入が可能になります。骨造成の治療法は複数あり、顎の骨の状態に適切な治療法を選ぶ必要があります。
保険適用の対象になるかどうか、自費治療の場合はどれくらいの費用がかかるのかは、歯科医院のカウンセリングで相談してください。
顎の骨が少ないからという理由で失った歯をそのままにしておけば、咬み合わせが悪くなるなど周囲の歯に影響を及ぼします。骨造成の治療は時間を要するため、できるだけ早くから治療を開始することが望ましいです。
インプラント治療や骨造成を検討されている方は、京都府京都市左京区にある医療法人社団 京都下鴨ライフ歯科・矯正歯科・小児歯科にご相談ください。
奥村 亮司