こんにちは。京都府京都市左京区にある医療法人社団 京都下鴨ライフ歯科・矯正歯科・小児歯科です。
舌痛症という病気をご存じでしょうか。舌痛症は、舌にヒリヒリとした痛みやピリピリとした痺れを感じる病気です。数ヶ月に渡り痛みが続くことが多く、不安を感じる人も少なくありません。
舌に痛みや異常を感じると「何か怖い病気なのではないか」と心配に感じることもあるかもしれません。
今回は、少しでも不安を払拭できるよう、舌痛症の原因や治療方法、放置リスクについて詳しく解説します。
Contents
舌痛症とは
舌痛症は、口腔内灼熱症候群、バーニングマウス症候群とも呼ばれています。特に舌に異常が見られるわけではないにも関わらず、痛みや不快感を感じる病気です。
ヒリヒリとした痛みやピリピリと痺れるような痛みが続きます。火傷をしたような感じと表現する方もいます。舌を見ても、潰瘍や腫れはありません。
舌の先端や縁のあたりに強い痛みを感じることが多く、特に寝る前に痛みが増すことが多いです。食事への影響はない場合が多いため、食事は通常にできることがほとんどです。
また、舌のみならず、唇や頬の内側、上顎などにも痛みが広がることもあります。見た目に異常がないゆえに、他の人に理解されずに悩んでしまうケースが非常に多いです。
舌痛症の原因
舌痛症の原因は明らかになっていません。そのため、痛みが生じるような疾患が口の中にないと判断された場合に、舌痛症と診断されます。
メンタルやホルモンの影響、神経症の一種など様々な仮説が立てられていますが、原因は特定できていません。
近年では、神経障害性疼痛(しんけいしょうがいせいとうつう)の一種と捉える考えが中心になっています。原因は一つだけでなく、様々な要素が影響しあっているとも考えられています。
二次性の舌痛症
何らかの病気が背景にあって、舌痛症と同様の痛みを引き起こすケースがあります。何らかの病気によって引き起こされる舌の痛みを、二次性の舌痛症と呼びます。病気が原因だと判断できるため、厳密には舌痛症とは異なります。
この場合、原因が改善されると舌の痛みもなくなることが多いです。
二次性の舌痛を起こしうる原因は、複数考えられます。
- シェーグレン症候群
- 亜鉛欠乏(微量元素欠乏症)
- 脳血管障害
- 貧血
- 薬剤の副作用
- 不衛生な口腔内環境
- 口呼吸
- 口腔乾燥症
- 口腔カンジダ症
- 歯科金属のアレルギー
シェーグレン症候群では、唾液の分泌量が減少します。舌も乾燥するので、雑菌の影響で腫れたり炎症を起こしたりすることがあります。また、乾燥によって亀裂が入ることも、二次性の舌痛症の原因になり得ます。
亜鉛は人体にとって必要不可欠な元素で、不足すると舌の表面が荒れることがあります。脳血管障害、脱髄性疾患、ギランバレー症候群等の脳血管障害によって神経に異常をきたすと、下に痛みを感じるようになるケースもあります。
薬剤の影響や口呼吸などによって口内が乾燥している場合も、二次性の舌痛症を引き起こすことがあります。
舌痛症のチェックリスト
舌痛症の概要を説明しましたが「思い当たることがある」と感じた方もいるかもしれません。舌痛症かどうか、セルフチェックをしてみましょう。
以下の項目に当てはまる場合には、舌痛症の可能性があります。
- 舌がヒリヒリ、ピリピリする
- 上顎や唇、頬の内側などがヒリヒリする
- 舌がしびれる
- 飴などを舐めると症状がやわらぐ
- 口の中が乾燥している
- 夕方から夜にかけて悪化する
- 寝ている間は痛みを感じない
これらに当てはまる場合、舌痛症の可能性があります。
ただし、別の病気が潜んでいる可能性もあります。思い当たる症状がある場合には、一度歯科医院を受診するようにしましょう。
舌痛症の診断方法
舌痛症であると診断するためには、二次性の舌痛症ではないと確定しなければなりません。そのため、舌の痛みが発生する他の疾患を除外するための検査を行います。血液検査により内分泌疾患の有無や、貧血や栄養素の欠乏状態などを調べます。
また、口腔内にカンジダ菌が増殖することで口腔内の粘膜が炎症を起こし、舌に痛みを生じることがあります。カンジタ症の検査は、舌や粘膜に付着した唾液を培養する方法で行われます。
舌痛症の治療方法
舌痛症は明確な原因がわからないので、根本から解決する方法は存在しません。対症療法によって症状を緩和させながら、経過をみていくのが一般的です。舌痛症の治療は保険適用内で行うことが可能です。
特別な処置をしなくても自然治癒するケースもありますが、長期的に痛みを訴えることも少なくありません。痛みをゼロにするのではなく、日常生活の中で痛みをうまくコントロールしながら、向き合うことも大切です。
あまり結果を求めずに、長い目で根気よく治療していくことが重要といえます。実際に行われることが多い治療は、以下のとおりです。
認知行動療法
舌痛症の病態について詳しく説明し、病気と上手に付き合う方法を一緒に考えて日常生活に取り入れていきます。病気とうまく付き合えるようになると、次にあげる内服療法の効果もより発揮されるようになることが多いです。
十分な睡眠や食事、規則正しい生活を意識し、ストレスを溜めない、適度な運動をするといった生活環境の見直しを行うことも大切です。
内服療法
鎮痛補助薬として、主に抗うつ薬が使用されます。抗うつ薬と聞くと強い抵抗感を抱く方もいますが、抗うつ薬は腰痛などの慢性疼痛や、偏頭痛の予防薬としても世界中で広く使用されています。
精神的な症状だけに使用されるものではなく、痛みを緩和させる効果があるとされています。
舌痛症の場合も、メンタルへの効果だけでなく、慢性的な痛みそのものに対する効果を狙って内服治療を進めます。
歯科医院を受診後、心療内科・精神科への受診を進められることがあります。本来は不安やうつに対して使用するお薬を、歯科医院では十分に取り扱えない可能性があることが理由です。
抗うつ薬を服用してお薬が合ってくると、1ヶ月程度で舌の痛みが緩和されてくることが多いです。その後、症状が再発しないよう半年から1年程度服用を続けることが一般的です。
舌痛症を放置するリスク
舌痛症は改善までに時間がかかることも多いです。また、舌痛症自体は、しばらく経過観察をしてもよい病気といえます。
しかし、舌が痛いという症状には、上述した通り舌痛症以外の病気が潜んでいる可能性があります。舌の痛みを放置すると、別の病気を見逃すリスクが伴うのです。
そのため、舌の痛みが続いている場合にはまずは受診することが大切です。舌痛症だと診断された場合は、定期的に受診して経過観察をしていきます。
傷による痛みや口内炎であれば1週間〜10日程度で回復しますが、舌がんなどの重大な病気が潜んでいる可能性もあります。舌に痛みがある場合には放置はせず、必ず受診して問題がないか確認してもらいましょう。
心理的な要因で舌の痛みが出ている場合は、受診して「問題はない」とわかると、痛みが消失する患者様もいます。
まとめ
舌痛症は、明確な原因が特定されていない病気です。舌がヒリヒリする、ピリピリするなどの症状が長期的に続き、日常生活に影響を及ぼすことも少なくありません。
舌痛症は原因がはっきりわかっていないため、原因にアプローチする治療方法はありません。認知行動療法や内服療法で治療を行うことになります。
舌が痛い場合は、舌痛症以外の病気が潜んでいる可能性もあります。重大なものを例に挙げると、舌がんが挙げられます。
そのため、舌に痛みがある場合、一度受診して状態を確認してもらいましょう。問題はないと分かったことで、痛みが消失していくケースもあります。
舌痛症にお悩みの方は、京都府京都市左京区にある医療法人社団 京都下鴨ライフ歯科・矯正歯科・小児歯科にご相談ください。
当院では、一人ひとりのライフステージに沿った歯科医療を提供できるよう努めています。小児・成人矯正や予防歯科、虫歯・歯周病治療、ホワイトニングなどさまざまな診療に力を入れています。
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奥村 亮司