こんにちは。京都府京都市左京区にある医療法人社団 京都下鴨ライフ歯科・矯正歯科・小児歯科です。
歯が欠けたり割れたりした場合、応急処置の方法で歯が元通りになるかどうかが左右されます。
ここでは、歯に外傷を受けた際の応急処置方法や症例ごとの治療法について解説します。歯の外傷を放置するリスクについても言及していますので、ぜひ参考にしてみてください。
歯の外傷とは
「転んで歯をぶつけた」「交通事故で顔に怪我をした」などが原因で、歯に大きなダメージを受けることを外傷といいます。患者様の多くは、乳幼児や小学生頃の子どもといわれています。
しかし、スポーツ時の衝突や交通事故などにより、大人も歯にダメージを受けることがあるため注意が必要です。
歯の外傷の症例
歯の外傷の症例は、以下の通りです。
歯が欠けた
歯は外側からエナメル質、象牙質、神経の3層に分かれています。エナメル質にヒビが入る程度であれば、自覚症状がないことも少なくありません。
ただし、歯が欠けると象牙質から神経に刺激が伝わりやすくなるため、歯がしみたり痛んだりすることがあります。特に、歯冠部分(歯茎から上の歯の部分)が大きく欠けると、神経が炎症を起こし、日常生活に支障が出るほど強い痛みが生じる場合があります。
歯がグラグラする
歯が破折したり、顎の骨にダメージを受けたりすると、歯がグラグラと揺れることがあります。適切な処置を行えば、歯が固定されることもありますが、歯科の受診が遅れると歯を残せない可能性もあるため、なるべく早く治療を受けることが大切です。
歯の脱臼
大きなダメージを受けることで、歯が歯茎側に埋もれたり、歯が飛び出て位置がズレたりすることがあります。歯の位置がズレる原因は、外傷により顎の骨がダメージを受けて歯が脱臼することです。
歯の固定により安定する場合もありますが、歯の破折がみられる場合には抜歯が必要になることもあります。
歯の抜け落ち
外傷によって歯に強いダメージを受けると、歯が完全に抜け落ちてしまうことがあります。早急な治療により歯を元に戻せる場合がありますが、歯の状態が悪ければ残せないこともあるので注意が必要です。
歯が変色した
一見、歯の欠けやぐらつきなどがないように見えても、外傷を受けた直後に歯の変色がみられる場合があります。神経の充血が原因ですので、定期的に歯科医院に通ってしばらく様子を診るとよいでしょう。
しかし、外傷を受けてから数週間~数か月後に歯が黒く変色した場合、神経が壊死した可能性があります。痛みはなくても細菌感染が起こる可能性がありますので、根管治療を受けるようにしてください。
歯の外傷の応急処置方法
歯に外傷を受けた際、適切な処置を行うことで、歯の寿命を守ることにつながります。以下の5つの方法を参考に、応急処置を行いましょう。
落ち着いて対処する
口元に大きな衝撃を受けると、大人であっても動揺することは珍しくありません。難しいかもしれませんが、落ち着いて対処することを心がけましょう。
特に、お子様が外傷を受けた場合、周りの大人の反応を見て不安になり、泣いたり興奮したりしてパニックになることがあります。まずは近くにいる保護者が冷静になり、一つ一つ対処していきましょう。
周りの大人が落ち着いて対処すれば、お子様も落ち着きを取り戻せるはずです。
吐き気やめまいがみられる場合は脳外科へ
交通事故や頭を打つ転倒などの場合、吐き気や頭痛、めまい、嘔吐などがみられる場合があります。生命にかかわる可能性がありますので、歯科よりも先に脳外科を受診してください。
出血がある場合は止血する
外傷による出血がある場合、濡らしたガーゼやうがいなどで患部をきれいにしてから止血してください。お口の中には唾液があるので、唾液と混ざって出血が多く見えますが、患部を押さえ圧迫して止血することが大切です。
破折した歯は牛乳に浸けて保存
破折した歯は牛乳に浸けて保存し、なるべく早く歯科を受診してください。歯科の受診が早ければ、元に戻せる可能性が高くなります。できれば外傷を受けてから、30分以内に歯科医院を受診しましょう。学校内で外傷を受けた際は、専用の保存液がある場合もあります。
ただし、歯を保存する前に、水洗いすることは避けてください。水洗いすると歯の周りに付着した組織が取れてしまい、元に戻せなくなることがあります。
牛乳がない場合は、お口の中に入れて歯を保存する方法でもかまいません。お子様の場合、誤って飲み込まないよう注意しましょう。
痛みや腫れがある場合は冷やす
外傷により歯や歯茎に痛みや腫れがある場合、患部を冷やせば症状を緩和できることがあります。冷やしすぎると痛みが増す場合があるため、直接患部を冷やすのではなく唇や頬の外側から間接的に冷やしましょう。
歯の外傷の症例ごとの治療法
主な歯の外傷の治療法は、以下の通りです。
歯が欠けた場合の治療法
歯の欠けた範囲の大きさによって、治療法は異なります。
歯冠部分が小さく欠けた場合
歯が欠けておらずヒビが入った程度であれば、経過観察することがほとんどです。ヒビの範囲にもよりますが、症状がないこともあるでしょう。冷たいものがしみるなどの知覚過敏の症状がある場合、歯の表面にコーティング剤を塗布して経過をみる場合もあります。
歯のエナメル質・象牙質が小さく欠けた場合、欠けた歯が元に戻る場合は接着剤で修復します。欠けた歯がない、もしくは歯の欠け方が複雑な場合は、レジンという歯科用のプラスチック素材を詰めるのが一般的です。
歯が大きく欠けて神経まで達した場合
歯が欠けて神経にまで達した場合、症状がなければダメージを受けた神経の一部を切除し、様子をみます。神経が炎症を起こしていたり状態が悪かったりする場合は、根管治療を行います。
根管治療後は、歯が欠けた範囲に合わせて詰め物や被せ物で修復するのが一般的です。
歯根が破折した場合の治療法
歯根が破折した場合の治療法は、以下の2つです。
歯根が横向きに破折した場合
外傷により歯根の一部が破折すると、歯冠部と歯根部に分かれることで歯がグラつきます。この場合、両隣の歯を支えに歯冠部分を固定して約3ヵ月、骨の結合を図るのが一般的です。
しかし、歯根破折により神経が炎症を起こした場合は神経の治療を行います。
歯冠から歯根まで縦に大きく破折した場合
外傷により歯が大きく破折してしまった場合、歯の固定や神経の処置などの治療は難しいことがほとんどです。そのまま放置していると細菌感染を起こす可能性があるため、抜歯せざるを得ないことがあるでしょう。
歯を脱臼した場合の治療法
歯を脱臼した場合の治療法は、以下の4つです。
歯が打撲した場合
歯の欠けはみられないものの、打撲によるダメージで歯を叩くと違和感を覚えたり、噛むと痛かったりすることがあります。症状が軽度であれば自然と元に戻ることがあるため、経過観察を行います。
しかし、数ヵ月しても戻らない場合、神経の損傷が考えられるため根管治療を検討します。
歯が揺れている場合
外傷により歯の周りの組織がダメージを受けると、歯がグラつくことがあります。歯の破折の治療と同じく、両隣の歯を支えに歯冠部分を固定するのが基本的な治療です。
しかし、歯の状態が悪ければ、根管治療が必要になる場合もあるでしょう。
歯の位置がズレた場合
歯が歯茎側に埋もれたり歯が飛び出たりした場合、正しい位置に歯を戻し、両隣の歯を支えに固定するのが一般的です。歯の変色や痛みなどの症状が出た場合は、神経の治療が必要になることがあります。
歯が抜け落ちた場合
歯が完全に抜け落ちてしまった場合、抜けた歯を早急に元に戻すことが大切です。保存液や牛乳に浸けて保管し、すみやかに歯科を受診しましょう。
歯の外傷の放置リスク
外傷を受けた歯をそのままにしていると、強い歯の痛みや歯茎の腫れが生じることがあります。最悪の場合、歯を失うことにもつながるため、すぐに歯科医院を受診することが大切です。
ここでは、歯の外傷を放置するリスクについて解説します。
神経の炎症により激しく痛む
歯が欠けたまま放置していると、細菌感染から神経の炎症を起こすことがあります。神経が炎症を起こすと、何もしなくてもズキズキ痛む、歯茎が大きく腫れるなど、日常生活に支障をきたすほどの症状が出ることも珍しくありません。
神経が壊死する
歯が欠ける、ぐらつくなどの症状がなくても、外傷後しばらくしてから歯の変色がみられた場合は神経が壊死しているサインです。神経が壊死すると、細菌感染を起こして歯根の先に膿が溜まり、強い痛みが出たり歯茎が大きく腫れたりすることがあります。
根管治療が必要になりますので、すぐに歯科医院を受診しましょう。
骨の吸収
外傷による顎の骨へのダメージにより、歯の周りの骨が吸収されることがあります。歯を支える骨がなくなると、歯がグラつき始め最終的には自然と抜け落ちることもあるでしょう。
骨の吸収は徐々に進行していきますので、定期的に通院し、経過観察することが欠かせません。
まとめ
口元やお顔に強い衝撃を受けて歯を損傷することを、歯の外傷といいます。一見問題ないように見えても歯が割れたり脱臼したり、さらには抜け落ちてしまうこともあります。
対応が早ければ早いほど元に戻る可能性が高まりますので、破損した歯は牛乳に入れて保管し、できるだけ早く歯科を受診してください。
歯の外傷についてお悩みの方は、京都府京都市左京区にある医療法人社団 京都下鴨ライフ歯科・矯正歯科・小児歯科にご相談ください。
当院では、一人ひとりのライフステージに沿った歯科医療を提供できるよう努めています。小児・成人矯正や予防歯科、虫歯・歯周病治療、ホワイトニングなどさまざまな診療に力を入れています。
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奥村 亮司