こんにちは。京都府京都市左京区にある医療法人社団 京都下鴨ライフ歯科・矯正歯科・小児歯科です。
「子どもにはどんな矯正装置を選んだらいいの?」と疑問に感じている保護者の方は少なくないでしょう。大切なお子さんに使用する装置ですから気を使う方も多いのではないでしょうか。
今回は、小児矯正の必要性や使用する装置の種類、選ぶときのポイントなどについて解説します。
小児矯正の必要性
小児矯正をしても意味がないと考える方もいるかもしれませんが、乳歯から永久歯へ生え変わる時期にしかできない治療もあります。治療を早期に始めることには、さまざまなメリットもあるのです。ここでは、小児期の矯正の5つのメリットについて解説します。
顎の横幅を拡大しやすい
小児期に治療を始めるメリットとして、顎を拡大しやすいという点が挙げられます。小児期の治療では、顎の成長を利用して歯がきれいに並ぶためのスペースを確保することが可能です。10歳前後になると顎の拡大が難しくなるため、顎の成長を利用した治療を行うためには早期に治療を始めることが望ましいでしょう。
歯を動かしやすい
子どもの骨は大人の骨に比べてやわらかいため、歯を動かしやすいです。弱い力でも歯並びを調整できる場合が多く、痛みが少ないという点もメリットといえます。
適応能力が高い
大人と比べて子どもは適応能力が高いため、装置に早く慣れる子が多い傾向にあります。また、治療後の噛み合わせに対する歯や歯ぐき、周囲の筋肉の適応能力も高いといわれています。
将来的な抜歯のリスクを回避しやすい
先にも述べた通り、小児期の治療では顎の横幅を広げて永久歯がきれいに並ぶためのスペースを確保します。そのため、将来矯正が必要になったとしても抜歯のリスクを回避しやすいでしょう。
治療費を軽減できる
小児の矯正は大人の矯正に比べてスムーズに進むことが多いです。これによって治療期間が短縮できれば、治療費を抑えることにつながります。
小児矯正の種類[〜12歳]
12歳までの矯正の種類を大きく分けると3種類あります。装置の種類は、以下の通りです。
可撤式矯正装置
可撤式矯正装置とは、取り外しが可能な装置のことです。お子さんでも簡単に着脱ができるという点はメリットですが、装着を嫌がると治療の効果が出にくいという点はデメリットといえます。装置の種類には、以下のようなものがあります。
拡大床
拡大床とは、ネジを回転させて上顎と下顎の横幅を広げる装置のことです。広げる力自体は弱いため、長い期間をかけて少しずつ顎の幅を広げていきます。装着時間は顎の状態によっても異なりますが、1日12時間〜15時間程度です。
バイオネーター
バイオネーターは、下顎の成長が上顎に比べて乏しく、上顎が前に出ている場合に使用されます。装置はワイヤーとプラスチックでできており、ネジで幅を調整していきます。寝ているときに装着するため、学校や食事の時間などは外すことが可能です。
慣れるまでは違和感を覚えることがありますが、痛みが少ないという特徴があります。
リップバンパー
リップバンパーとは、下顎の歯列を広げるための装置のことです。歯列は周囲の筋肉から力がかかると狭くなるため、このような力を排除し、舌の筋力を活用して歯列を拡大します。
なお、1日20時間ほど装着する必要がある点や装置が小さくて紛失しやすい点については理解しておく必要があるでしょう。
ムーシールド
ムーシールドとは、取り外しが可能なマウスピース型の装置です。主に、受け口を改善するために使用されます。舌や口周りの筋肉を鍛えることで舌を正しい位置に保ち、歯並びを改善します。
FKO(アクチバトール)
FKO(アクチバトール)とは、下顎の成長が乏しく上顎が前に出ることにより、噛み合わせが深くなりすぎたり出っ歯になったりした場合に使用する装置のことです。
顎のズレを防ぐために上下がセットになった装置を装着し、噛み合わせを正しい位置に誘導することで下顎の成長を促します。
インビザライン・ファースト
インビザライン・ファーストとは、透明なマウスピース型の矯正装置を使用した治療法です。顎の成長を促しながら、歯を正しい位置に動かしていきます。使用するマウスピースは、食事や歯磨きの際に取り外すことができますが、1日に20時間以上装着する必要があります。
プレオルソ
プレオルソとは、やわらかい素材でできたマウスピース型の装置です。舌や口周りの筋肉のバランスを整え、歯並びに影響を及ぼす口呼吸や舌癖などを改善することで、間接的に歯並びを整えていきます。
固定式矯正装置
固定式矯正装置とは、歯に直接装着するタイプの装置のことで、自由に取り外すことはできません。装置が常に装着された状態になるため、効果が出やすいというメリットがあります。
一方、装置が邪魔になって歯磨きがしにくくなるため、虫歯になるリスクが高くなるという点はデメリットといえるでしょう。
急速拡大装置
急速拡大装置とは、顎を拡大して永久歯が並ぶためのスペースを確保するための装置です。個人差はあるものの、1ヵ月程度で顎を拡大できる場合もあります。上顎に装置を取り付け、ネジを回して顎の幅を広げていきます。
リンガルアーチ
リンガルアーチとは、永久歯が生え揃うためのスペースの確保や反対咬合の治療のために用いられる装置のことです。左右の奥歯に装置を装着し、歯の裏側に沿って針金を通します。裏側に装着するため目立ちにくく、痛みがすくないという特徴もあります。
ただし、装置を舌で触りたくなったり磨き残しが多くなったりする点には注意しましょう。
部分ワイヤー
部分ワイヤーとは、前歯の歯並びを整える装置のことです。部分ワイヤーでは、奥歯2本を土台として前歯4〜6本にブラケットを取り付けてワイヤーを通します。
顎外固定装置
顎外固定装置とは、顔の外に装置を装着する方法のことです。顎外固定装置の種類は、以下の通りです。
上顎前方牽引装置
上顎前方牽引装置とは、上顎の骨を前方に成長させるための装置です。フェイスマスクについているフックと口腔内に装着したフックを矯正用のゴムで連結して力をかけます。上顎前方牽引装置は上顎の成長が下顎に比べて乏しい場合に使用されます。
チンキャップ
チンキャップとは、下顎の成長を抑制するための装置です。帽子のようなギアを被り、下顎にカップ状の装置を当てることで下顎の成長を抑えます。チンキャップは、下顎の過成長により受け口になった場合に使用されることが一般的です。
ヘッドギア
ヘッドギアとは、上顎の成長を抑えるための装置です。帽子のようなギアを被り、顎の下につなげて固定します。口の中にも装置をつなげ、上の奥歯を後方に引き下げるように力をかけます。ヘッドギアは上顎の過成長により出っ歯になっている場合などに用いられます。
小児矯正の種類[中学生以上]
中学生以上になると永久歯が生え揃った状態になるため、大人と同様の方法で治療を行います。おもな種類は、以下の通りです。
表側矯正(ワイヤー矯正)
表側矯正とは、歯の表面に直接ブラケットを装着し、そこにワイヤーを通して歯並びを整える方法のことです。適応症例が幅広く、難しい症例にも対応できるケースが多いです。強い力をかけることができるため、歯を大きく動かしやすい点もメリットといえます。
一方で歯の表側に装置を装着するため、人目につきやすいという点はデメリットといえるでしょう。
裏側矯正(ワイヤー矯正)
裏側矯正とは、歯の裏側にブラケットを取り付け、そこにワイヤーを通して歯並びを整える方法のことです。
歯の裏側に装置を装着するため目立ちにくいですが、表側矯正に比べると費用は高額になります。また、歯の裏側に装置を取り付けるため滑舌が悪くなることもあるでしょう。
マウスピース矯正
マウスピース矯正とは、透明のマウスピースを用いて歯を移動させる方法のことです。使用する装置は透明であるため、目立ちにくい点がメリットです。また、自由に取り外しができるため、矯正前と同じように食事や口腔ケアができます。
一方で、マウスピース矯正では装置を1日20〜22時間装着する必要があります。装着を怠ったり忘れたりすると計画通りに治療が進まなくなるため、自己管理が必要な治療法といえます。
小児矯正の種類を選ぶときのポイント
先にもご紹介した通り、小児矯正の方法には複数の種類があります。特に、12歳までの装置の種類は多くありますので、歯科医院と相談したうえで検討してください。
お子さんに適した装置の種類は、お子さんの歯並びや性格、生活習慣などによって異なります。例えば、日中の装着が難しい場合には、日中の装着を避けられる装置を選択することも方法のひとつです。
どの矯正装置を選択すべきか悩まれている保護者の方は、歯科医院で相談しましょう。
まとめ
乳歯と永久歯が混在している12歳までの矯正方法の種類は数多くあるため、どの治療方法を選べばよいかわからない方も多いかもしれません。歯並びの状態や顎の成長具合などによって選択できる装置は異なりますので、まずは歯科医院で相談してください。
小児矯正を検討されている方は、京都府京都市左京区にある医療法人社団 京都下鴨ライフ歯科・矯正歯科・小児歯科にご相談ください。
当院では、一人ひとりのライフステージに沿った歯科医療を提供できるよう努めています。小児・成人矯正や予防歯科、虫歯・歯周病治療、ホワイトニングなどさまざまな診療に力を入れています。
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奥村 亮司