こんにちは。京都府京都市左京区にある医療法人社団 京都下鴨ライフ歯科・矯正歯科・小児歯科です。
ワイヤー矯正は、歯並びや噛み合わせを整えるために用いられる非常に効果的な治療方法です。「ワイヤー矯正を始めたいけど、痛みが心配で治療を受けるか迷っている」「矯正治療中の痛みで日常生活に支障が出ないか心配」とお悩みの方も多いでしょう。
この記事では、ワイヤー矯正で生じる痛みの理由やタイミング、痛みを悪化させる要因や対処法について詳しく解説します。
目次
ワイヤー矯正で痛みが生じる理由
ワイヤー矯正は、ブラケットと呼ばれる装置を歯に取り付け、そこに通したワイヤーで歯に力をかけて正しい位置へと移動させる治療法です。
歯は、歯槽骨と呼ばれる歯を支える骨の中に埋まっています。歯の根の部分と歯槽骨の間には、歯根膜と呼ばれる薄い膜があります。
歯根膜は、歯根と歯槽骨を結び付けたり、歯にかかる力を吸収したりしています。過度な力が歯槽骨に伝わるのを防ぐなど、クッションのような役割も担っています。
矯正装置で歯に力を加えると、その力が歯根膜に伝わります。歯根膜が圧迫された側では骨が溶かされ、引っ張られた側では新しい骨が形成され始めます。矯正治療では、力を加えて骨の吸収と再生を引き起こすことで、歯を適切な位置へと移動させていくのです。
この過程では歯ぐきや周囲の組織に負担がかかるため、痛みや不快感を引き起こすことがあります。特に、歯が大きく動く治療の初期段階では、強い痛みを生じることが多いです。
ワイヤー矯正による痛みは、特に歯根膜が圧力を受ける部分で強く感じやすいとされています。奥歯や犬歯を動かすときには、より強い痛みを感じる場合があります。
ただし、痛みの感じ方には個人差があります。また、ストレスや睡眠不足などの要因が痛みの感受性に影響を与えることもあるでしょう。
他にも、ワイヤー矯正で痛みが生じる原因には、歯ぐきや頬の内側にワイヤーやブラケットが接触したことも挙げられます。装置が粘膜に擦れて傷や口内炎が生じた場合、痛みを感じるでしょう。
ワイヤー矯正で痛みが生じるタイミング
ワイヤー矯正の痛みは、主に以下のタイミングで生じることが多いでしょう。
矯正治療を開始した直後
ワイヤー矯正を始めた直後は、口の中に装置がある状態に慣れていないため、強い違和感や痛みを覚えることがあります。特に、初めて装置を装着した最初の数日間は、異物感や圧迫感が強いでしょう。歯が動き始めることによる痛みも感じやすいといえます。
ワイヤーを調整した直後
治療中は、定期的に受診してワイヤーの調整を行います。この際、歯に新たな圧力が加わるため、落ち着いていた痛みが再び出ることがあります。
ワイヤーを調整した後の痛みは、1日から2日間は特に強く感じられるとされています。1週間程度で慣れて気にならなくなる方が多いです。
歯の移動が進む時期
歯が新しい位置に移動する過程で、痛みや不快感が強くなることがあります。特に、歯が大きく動く時期には、歯ぐきや周囲の組織にかかる負担が増し、痛みが強く感じられることがあります。
ワイヤー矯正の痛みを悪化させる要因
ワイヤー矯正の痛みを悪化させる要因は、以下の通りです。
矯正装置のトラブル
ブラケットが外れていたり、ワイヤーなどが歯ぐきに当たっていたりすると、痛みが悪化することがあります。特に、ブラケットが破損している場合やワイヤーが外れて当たっている場合は、周囲の組織にダメージを与える可能性が高いでしょう。
また、適切な力が歯にかからないこともあるため、早めに歯科医師に相談してください。
口内の炎症や傷
口内に傷や炎症があると、矯正器具によって圧力がかかることで、さらに痛みが増す可能性があります。また、治療中は矯正装置が固定されているため、装置の周りに食べ物が詰まりやすくなったり、歯磨きがしにくくなったりします。
磨き残しが多くなると、歯ぐきが赤く腫れたり、虫歯になったりするリスクが高まります。これらの炎症で、治療中の痛みが増幅する可能性もあるでしょう。
口腔トラブルのリスクを防ぐためにも、歯ブラシだけでなく、タフトブラシなども併用した丁寧なセルフケアが推奨されます。ワイヤー矯正の装置を取り付けた状態でのブラッシングに不安がある場合は、歯科医院でブラッシング指導を受けると良いでしょう。
生活習慣
硬い食べ物や粘着性のある食べ物を摂取すると、装置に食べ物が引っかかったり、負担がかかったりして痛みが悪化することがあります。特に、硬い食べ物を噛む際には、治療のために常に矯正力をかけられている歯に、さらに噛む圧力がかかるため、痛みが増すことがあります。
また、ストレスや睡眠不足も、痛みを感じやすくする要因となり得ます。生活習慣を見直して整えることも、痛みの軽減に効果的です。
ワイヤー矯正の痛みはどのくらい続く?
ワイヤー矯正の痛みの持続期間は個人差があります。一般的には、矯正器具を装着した直後の場合で1週間程度、定期的な調整後は通常2日から3日程度で痛みが落ち着いていきます。
特に、初めて矯正装置を装着した時には、口内の異物感や圧迫感を強く感じることが多いです。徐々に慣れていき、1週間程度で日常生活に支障のない程度まで改善していくのが一般的です。
また、ワイヤーを調整した後に生じる痛みも、治療が進むにつれて体が矯正装置に順応するとされています。痛みを感じる期間は短くなっていく傾向にあります。
ただし、ご紹介した期間はあくまで一般的なものであり、個人の体質や矯正治療の進行状況によって異なることがあります。痛みが長期間続く場合や、痛みが酷くて日常生活に支障をきたす場合は、早めに歯科医師に相談することが大切です。
ワイヤー矯正の痛みが酷いときの対処法
ワイヤー矯正の痛みが酷い場合、以下のような対処をすることで痛みを軽減できる可能性があります。
痛み止めを服用する
市販されている痛み止めを使用することで、一時的に痛みを和らげられます。
ただし、服用前には歯科医師や薬剤師に相談しましょう。可能であれば、歯科医院で処方してもらった痛み止めを服用するのが理想です。
矯正治療では、意図的に炎症反応を引き起こして骨の再生・吸収を促進して歯を移動させています。そのため、抗炎症作用がある鎮痛剤を使用すると、歯の移動が遅れる可能性があるのです。
常用しなければ問題ありませんが、市販の痛み止めを使用する場合は念のために歯科医師に相談しておきましょう。
冷やす
冷たいタオルや保冷剤を痛みのある場所に当てて冷やすことで、炎症を抑え、痛みを軽減できる可能性があります。
ただし、あまりに頻繁に冷やしたり長時間冷やし続けたりすると、歯が動きにくくなる場合もあるため注意が必要です。冷やしすぎを防ぐためにも、保冷剤を使用する際は直接肌に当てず、タオルなどで包みましょう。
食事を工夫する
硬いものや粘着性のあるものを避け、柔らかい食べ物を選ぶことで、歯や装置にかかる負担を減らし、痛みを軽減できます。例えば、スープやヨーグルト、豆腐のような柔らかいものを食べたり、調理の際に食材を細かく切ったり柔らかく煮たりすることで負担を軽減できます。
また、痛みが強い時は、極端に温度が高い食べ物や、辛い食べ物など刺激の強いものも避けるとよいでしょう。
矯正用ワックスを使用する
ブラケットなどの矯正装置が頬の内側、唇、舌などに接触して痛む場合は、矯正用ワックスを使用しましょう。ワックスは、適量(米粒大程度)を丸め、当たって痛みを感じる部分の装置に優しく押しつけるようにして使用します。
ワックスは食事や歯磨きの際に取れることがあるため、必要に応じて付け直しましょう。
歯科医師へ相談する
痛みが長引く場合や、他の症状が現れた場合は歯科医師に相談しましょう。必要に応じて、ワイヤーの調整などの処置が行われます。
ひどい痛みが続く場合は、何らかの問題が起こっている可能性もあります。無理に我慢せずに、歯科医師に相談してください。
まとめ
ワイヤー矯正は痛みを伴うことがあり、治療による痛みに不安を感じる方も多いです。原因や対処法を知っておくことで、不安を軽減しながら治療を進められるかもしれません。
治療開始直後や調整後の痛みや違和感は一時的なものであり、治療が進むにつれて徐々に慣れていきます。痛みが長引いたり、通常以上に強い痛みがあったりする場合は、早めに歯科医師に相談することが大切です。
気になることがあれば歯科医師に相談し、ご自身に合った対処法を見つけていきましょう。
ワイヤー矯正を検討されている方は、京都府京都市左京区にある医療法人社団 京都下鴨ライフ歯科・矯正歯科・小児歯科にご相談ください。
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奥村 亮司