こんにちは。京都府京都市左京区にある医療法人社団 京都下鴨ライフ歯科・矯正歯科・小児歯科です。
成人の約8割が、歯周病に悩まされているといわれています。初期の歯周病であれば、プラークや歯石を取り除くといった簡単な処置で改善を期待できます。
しかし、進行した場合には大掛かりな治療が必要になり、治療期間も長くなります。進行した歯周病に対しては、外科治療が選択肢になります。
外科治療と聞くと怖いというイメージを持つ方もいらっしゃるでしょう。具体的にはどのようなことが行われるのか、疑問に思う方も少なくありません。
今回は、歯周病の外科治療について詳しく解説します。外科手術のメリットや費用の目安についても紹介するので、ぜひ参考にしてください。
目次
歯周病の外科治療では何をする？
歯周病の外科治療にはいくつか種類があり、それぞれ治療内容が異なります。代表的な外科治療を確認しましょう。
フラップ手術
フラップ手術は、歯肉を一時的に剥がし、通常の歯石除去ではアプローチできない深い部分の歯石や感染組織を除去する処置です。局所麻酔を用いて歯肉を切開して剥離し、露出した歯根面の歯石を丁寧に除去した後、剥がした歯肉を元の位置に戻して縫合します。
歯肉切除術
歯肉切除術は、過剰に成長した歯肉や不健康な歯肉組織を取り除く治療です。手術にはメスやレーザーを用います。切除後は、歯肉の縁を整え、必要に応じて縫合します。
歯周病の治療のほか、笑ったときに歯茎が目立つガミースマイルに対する審美的な治療としても行われます。
歯周組織再生療法
歯周組織再生療法は、歯周病によって失った歯周組織を再生させる治療です。歯周組織再生療法には、主にリグロス法とエムドゲイン法があります。
リグロス法は、ヒトの成長因子を含む薬剤を用い、失われた歯周組織の再生を促進します。エムドゲイン法は、豚の歯胚組織から抽出したエナメル基質タンパク質を用います。
リグロスは保険が適用されることもありますが、エムドゲイン法は自費治療になります。
歯周病の外科治療が必要になるケース
歯周病の外科治療が必要になるケースを確認しましょう。
歯周ポケットが深い
歯周ポケットが4mm程度の段階から、外科治療を検討します。歯周ポケットが深くなると、通常の器具では届かない深部に歯石が付着します。そのため、歯肉を切開し、直接視認しながら歯石を除去するフラップ手術が選択肢になります。
歯周ポケットが6mm以上の場合は、通常の治療では改善が難しいので外科手術が積極的に検討されます。
骨の破壊が進行している
歯を支える歯槽骨が破壊されて歯がぐらぐらしている状態では、歯周組織再生療法（GTR法やエムドゲイン法）が検討されます。骨の再生を促し、歯を安定させます。
歯周組織の損傷が大きい
歯周病の進行によって歯茎や結合組織などが損傷しているときは、歯周組織再生療法が検討されます。特に、歯肉が下がって歯根が露出すると、知覚過敏や審美的な問題が生じます。
歯周病の外科治療を受けるメリット
ここでは、歯周病の外科治療を受けるメリットを確認しましょう。
歯周ポケットが改善する
歯周病が進行すると、歯と歯肉の間の歯周ポケットが深くなっていきます。深いポケットはブラッシングによる清掃が難しくなり、細菌が増殖しやすいです。
外科手術を行えば、歯周ポケットを浅くすることができます。日常のセルフケアがやりやすくなり、歯周病の進行を遅らせられます。
天然歯を長く維持できる
外科手術によって、歯槽骨や歯肉といった歯の周りの状態が改善されると、歯の安定性が向上します。グラグラとした歯に力が加わると、やがて歯が抜け落ちることにもつながります。外科治療を行うことで、歯を長く維持できるようになります。
歯槽骨の減少を防ぐ
歯周病が進行すると、歯を支える歯槽骨が徐々に失われていきます。歯周病によって減少した歯槽骨は自然に回復することはなく、歯周病の進行によってさらに減少していきます。
外科手術は、歯槽骨の減少を防いだり、再生したりできます。
歯茎が下がるのを防ぐ
歯周病の進行によって歯茎が退縮し、歯の根が露出することがあります。外科手術を行うことで、歯茎の退縮を予防したり露出した根元を覆ったりできます。
見た目が改善する
歯周病が進行すると、歯茎の炎症や退縮によって口元の印象が大きく損なわれることがあります。外科手術によって、健康的で自然な見た目の口元を取り戻せる可能性があります。
歯周病の外科治療を受けるデメリット
歯周病の外科治療を受けるデメリットを確認しましょう。
歯茎が下がることがある
フラップ手術を行った後に、歯ぐきが下がって以前よりも歯が長く見えることがあります。特に、前歯部分は変化が目立ちやすく、ブラックトライアングルと呼ばれる歯と歯の間の黒い三角形が気になることがあります。
治療費が高額になる
保険が適用される外科手術もありますが、審美的な目的の治療や、高度な外科治療は自費治療となります。自費治療は全額自己負担となるので、治療費が高額になりやすいです。
知覚過敏が起こることがある
歯周病の外科手術に伴って歯ぐきが下がる影響で、知覚過敏が発生することがあります。歯の根の部分はエナメル質で保護されておらず、冷たいものなどの刺激に敏感なためです。
外科手術後の知覚過敏の多くは一時的なもので、時間の経過とともに改善が期待できます。また、知覚過敏用の歯磨き剤の使用によっても、症状を和らげることができます。
術後に痛みや腫れが出ることがある
歯周病の外科手術は、歯ぐきを切開して行います。通常の歯周病治療に比べて大掛かりで、身体への負担も大きく、手術後に痛みや腫れが生じることがあります。
麻酔が切れた後の痛みには個人差があり、手術の内容によっても変わってきます。手術後は抗生剤や鎮痛剤が処方されるので、指示に従って服用しましょう。
歯周病の外科治療の費用
歯周病の外科治療の費用を確認しましょう。
フラップ手術
フラップ手術の費用は、保険適用の場合で1歯あたり約2,000円～7,000円程度、自費治療の場合で1万円～10万円程度です。治療を行う歯の本数、手術の複雑さによって変動します。
歯肉切除術
歯肉切除術は自費治療となり、10万円～30万円ほどと幅があります。広範囲の治療や、複雑な修正を要する場合は費用が高くなります。
歯周組織再生療法
歯周組織再生療法には、保険適用の治療と自費治療があります。リグロス法は保険適用となっており、1歯あたり1万円～3万円程度です。保険適用外の薬剤を使用する場合は、1歯あたり5万円～10万円程度です。
歯周病の外科治療を受けられないケースもある？
さまざまな理由で、歯周病の外科治療が受けられないケースもあります。どのような場合なのか確認しましょう。
初期段階の歯周病
初期段階の歯周病は、スケーリングやルートプレーニングなどの治療で改善が見込めるため、基本的には外科治療は行われません。審美的な目的で行う手術などは、希望すれば受けることができます。
改善を期待できない場合
歯周病が重症化し、改善が見込めないときは外科治療は行われません。手術にはリスクがあり、経済的な負担も少ないとは言えません。改善の見込みがない場合、または手術をしたとしてもすぐに歯が抜けると予想される場合は、抜歯を検討することが多いです。
全身の健康状態が不安定な場合
外科手術は出血を伴うため、出血に伴うリスクのある人や止血が難しい人は受けられないことがあります。手術中は血圧が変動し、心臓にも負担がかかります。高血圧や心疾患などがある人は、外科治療を受けられないことがあります。
また、糖尿病によって血糖値が高い状態が続いていると、感染リスクが高まったり、治癒が遅れたりするリスクがあります。外科治療を行うかどうかは、かかりつけの医師と相談しながら慎重に判断されます。
まとめ
進行した歯周病に対しては、外科手術が選択肢になります。外科手術には、通常の治療では取り除けない歯垢や歯石を取り除くもの、失われた歯周組織を再生するものなどがあります。
外科治療が気になる方は、歯科医師に相談し、自分に必要な治療かどうか、効果を期待できるどうかなどを尋ねてみるとよいでしょう。
歯周病の外科治療を検討されている方は、京都府京都市左京区にある医療法人社団 京都下鴨ライフ歯科・矯正歯科・小児歯科にご相談ください。
当院では、一人ひとりのライフステージに沿った歯科医療を提供できるよう努めています。小児・成人矯正や予防歯科、虫歯・歯周病治療、ホワイトニングなどさまざまな診療に力を入れています。
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奥村 亮司
