こんにちは。京都府京都市左京区にある医療法人社団 京都下鴨ライフ歯科・矯正歯科・小児歯科です。
「親知らずに違和感がある」「虫歯になっていないか心配」など、親知らずは目視しにくく、自分で状態を確認することが難しいため、虫歯やトラブルが起きていないか不安を感じている方もいるでしょう。実際に、親知らずの虫歯が進行し、痛みなどの症状が出て初めて気が付く方も少なくありません。
今回は、親知らずの虫歯を放置するリスクや治療法・親知らずの虫歯を予防する方法を紹介していきます。親知らずが生えていて虫歯に不安がある方は、ぜひ参考にしてみてください。
Contents
親知らずの虫歯を放置すると
親知らずの虫歯もほかの歯と同様に、放置すると進行していきます。
親知らずは、斜めに生えていたり完全に生えていなかったりするケースが多いです。そのため、歯ブラシが届きにくく、汚れも残りやすいので、虫歯になるリスクが高いです。虫歯は初期段階では痛みがなく、まれに違和感がある程度で、自覚症状がほとんどありません。
しかし、虫歯が進行して象牙質まで到達すると、神経を刺激するため痛みをともないます。痛みがあり歯の表面に穴が空いている状態で更に放置し続けると、根っこの先にまで虫歯が広がり、周囲の組織も虫歯菌に感染します。根の先に膿がたまり、耐えられない痛みが出るリスクが高くなるでしょう。
また、親知らずが虫歯になった際に注意したいのが、手前の歯への影響です。
例えば、親知らずが斜めに生えていると、手前の歯との間に汚れがたまりやすいです。歯と歯の間に汚れが残る状態が続くと、親知らずと手前の奥歯2本とも虫歯になるリスクが高いため、注意しなければいけません。虫歯を放置し続けると、親知らずの周辺組織や手前の歯にも悪影響をおよぼすため、早めに対処する必要があります。
虫歯になった親知らずの治療法
虫歯になった親知らずの治療法は、抜歯治療が一般的です。
親知らずや親知らずの周辺は、歯ブラシが届きにくく、不衛生になりやすいです。また、治療の際も術部が見えにくい・器具が届かないなど治療に適していない環境下にあります。治療を行っても歯ブラシが十分にできていないと、再び虫歯になり再治療になるリスクも高いです。親知らずは、虫歯治療をするメリットが少ないため、抜歯を推奨する歯科医師が多いでしょう。
ただし、症例によっては虫歯治療を行うケースもあります。例えば、上下の親知らずが真っ直ぐ生えていて噛み合っている場合や手前の歯を失っている場合は、虫歯治療を行って残すことも検討します。
親知らずは抜歯治療が基本方針ですが、なかには歯を抜きたくない方もいるでしょう。治療を希望する場合、治療が可能な症例なのか歯科医師に相談して、リスクを理解したうえで選択する必要があります。
親知らず抜歯後に注意すべきこと
親知らずの抜歯後に注意すべきことは、3つあります。
- 口をゆすぎ過ぎない・歯ブラシを当てない
- 刺激の強い飲食物は避ける
- 血行のよくなる行動は行わない
抜歯直後の口内はデリケートな状態です。誤った過ごし方をすると、出血が止まらない・強い痛みや腫れや出るなどのリスクがあります。以下に詳しく解説していきます。
口をゆすぎ過ぎない・歯ブラシを当てない
通常、抜歯した部分には「血餅」と呼ばれる血の塊が形成されて、患部を保護します。
しかし、抜歯後に口をゆすぎ過ぎたり歯ブラシを患部に当ててしまったりすると、血餅が形成されず、血が止まらなくなるリスクがあります。抜歯した当日は、口は優しくゆすぐ程度にして、患部を歯ブラシで刺激しないようにしましょう。
ドライソケットに繋がる可能性も
ドライソケットとは、血餅がうまく形成されずに、抜歯した部分の骨が露出している状態をいいます。
ドライソケットは、常に痛みがあるケースが多く、ズキズキと脈打つような激しい痛みを感じる方も少なくありません。鎮痛剤を服用しながら消毒・消炎を行い、様子をみます。ほとんどの症例で、1〜2週間ほどで治癒します。
刺激の強い飲食物は避ける
親知らずの抜歯後は、刺激の強い飲食物は避けるようにしましょう。痛みや再出血を避けるためには、刺激物や熱いもの・アルコール類は摂らないようにします。抜歯当日の食事は、常温で噛む回数が少なくて済むものを選ぶといいでしょう。
また、傷口は塞がるまで2〜3週間ほどかかります。万が一、食べ物が患部に入り込んでしまった場合、無理に取ることは避けてください。歯ブラシなどで無理に取ろうとすると、血餅が剥がれて、傷の治りが遅くなるリスクがあります。
血行のよくなる行動は行わない
抜歯当日は、血行が促進される行動は避けるようにしましょう。
特に、激しい運動やアルコール、サウナや湯船に浸かる行為は、血行が促進されるので注意が必要です。血流がよくなると再出血のリスクが高くなります。腫れや痛みが長引く原因にもなるので、抜歯当日は安静に過ごすように心がけることが大切です。
親知らずは虫歯以外でも痛むことがある?
親知らずが痛むのは、虫歯以外にも原因があることをご存知でしょうか。
親知らずが虫歯以外で痛む原因は、大きく2つ考えられます。
- 智歯歯周炎
- 歯性感染症
以下で解説していきます。
智歯周囲炎
智歯周囲炎は、親知らずの周りの歯茎が炎症を起こし、腫れている状態です。歯ブラシが十分に届いておらず、磨き残しやプラークが蓄積されることで発症します。ふだんは無症状でも、病気や疲れ・ストレスなどで抵抗力が落ちた際に症状が現れやすいので、注意が必要です。
患部の消毒と抗生剤、必要に応じて鎮痛剤も服用して、消炎するのを待ちます。何度も繰り返す場合は、抜歯を検討したほうがいいでしょう。
歯性感染症
歯性感染症は、親知らずの周囲の組織にまで炎症が広がっている状態をいいます。虫歯や歯周病、智歯周囲炎などが重症化した場合に見られる症状です。
菌性感染症は、大きく2つに分類されます。
- 顎骨骨髄炎
- 化膿性リンパ節炎
治療法は、殺菌性抗菌薬を服用または点滴して、症状の原因となっている細菌を殺菌します。膿が蓄積されている場合は、歯茎を切開して、膿を外に排出する治療が必要です。
顎骨骨髄炎
顎骨骨髄炎は、口内の細菌感染が原因で起きた炎症が骨の中の骨髄にまでおよび、炎症を起こしている状態をいいます。あごや顔全体が腫れ上がり、強い痛みをともないます。顎骨骨髄炎は、血流が悪い下の顎のほうが感染しやすいといわれています。
顎骨骨髄炎は、虫歯や歯周病などを長期間放置することで感染のリスクが高くなる疾患です。日頃からしっかりと虫歯・歯周病にかからないようにケアすれば回避できます。
化膿性リンパ節炎
化膿性リンパ節炎は、口内の細菌がリンパに侵入して、炎症を起こしている状態を指します。リンパ節の腫れや痛み、高熱などの症状が現れる場合が多いです。首筋にしこりや腫れが生じて、触ると痛みや違和感をともないます。
親知らずの虫歯予防法
虫歯の原因は、歯の表面に残るプラークです。
親知らずは、生えるスペースが不足している場合が多く、歯の一部が歯茎に埋まっていたり歯が斜めに生えてしまったり、きちんと生えてこない症例が多いです。歯ブラシが届きにくいことに加えて、ブラッシングに工夫が必要なため、虫歯になりやすい環境にあります。親知らずの虫歯を予防するためには、自宅で行うセルフケアと歯科医院で行うプロフェッショナルケアで、プラークなどの汚れを落とすことがポイントです。
以下で、自宅で行うセルフケアと歯科医院で行うプロフェッショナルケアについて紹介していきます。
自宅で行うセルフケア
上述したとおり、虫歯の原因はプラークです。毎日のブラッシングでプラークを除去することができていれば、虫歯になることはありません。
しかし、親知らずは歯ブラシが届きにくく、歯も真っ直ぐ生えていないことが多いので、ブラッシングを工夫する必要があります。
親知らずのブラッシング方法
親知らずを磨く際には、歯ブラシのヘッドは小さめのものを使用しましょう。ヘッドの大きな歯ブラシでは、親知らずまで十分歯ブラシが届かない可能性が高いです。
また、親知らずに歯ブラシを当てるときは、口を大きく開け過ぎず、半開き程度にしましょう。口を大きく開けると頬の粘膜が引っ張られ、歯ブラシが入るスペースが不足してしまいます。半開き程度にすると頬の粘膜が伸びるので、スムーズに歯ブラシを入れられます。
親知らずが手前の歯に向かって斜めに倒れていたり完全に生えていなかったりするケースでは、ワンタフトブラシを併用しましょう。歯ブラシで磨いたあとに、汚れが残りやすい手前の歯との間や頬側の歯の面などをワンタフトブラシで磨いていきます。歯ブラシだけでなく、補助清掃用具を併用すればプラークを確実に除去できます。
歯科医院で行うプロフェッショナルケア
親知らずが生えている方は、定期的に歯科医院を受診してメンテナンスしましょう。歯科医院の定期メンテナンスでは、虫歯・歯周病の有無を確認していきます。
親知らずは、自分では目視しにくい部分なので、トラブルが起きていないかチェックしてもらうことが大切です。万が一トラブルが発生していても、定期メンテナンスに通っていれば早期に発見できるので、治療も簡単に済む可能性が高いでしょう。
定期メンテナンスでは、口内のチェックのほかにも、歯ブラシが十分に当たっていない部分のブラッシング指導や歯石や着色の除去も行います。口内を清潔に保つためにも、歯科医院での定期メンテナンスはできる限り通うようにしましょう。
まとめ
親知らずの虫歯を放置すると、虫歯が進行して歯の根まで虫歯が到達し、周辺組織にも悪影響を与えます。斜めに生えていたり完全に生えていなかったりする場合では、手前の歯も汚れが残りやすく虫歯になるリスクがあります。親知らずが虫歯になった際には、抜歯をすすめられるケースが多いです。親知らずは、歯ブラシが届きにくく治療を行っても再治療のリスクがあることや治療する際も器具が届かないなどのリスクがあるためです。
親知らずを虫歯などのトラブルから守るためには、プラークを残さず口の中を清潔に保つことがポイントです。自宅でのセルフケアはもちろん、歯科医院での定期メンテナンスを受けて虫歯予防に努めましょう。
親知らずの虫歯に悩んでいる方は、京都府京都市左京区にある医療法人社団 京都下鴨ライフ歯科・矯正歯科・小児歯科にご相談ください。
奥村 亮司