こんにちは。京都府京都市左京区にある医療法人社団 京都下鴨ライフ歯科・矯正歯科・小児歯科です。
シーラントは、虫歯予防に効果的と研究でも明らかになっています。特に、永久歯が生えたばかりのお子さまに有効な治療法です。条件を満たせば保険適用になるので、お子さまの虫歯予防に悩んでいる方は、ぜひシーラントを検討してください。
今回は、虫歯予防に効果的なシーラントのメリットと費用について解説します。
Contents
虫歯の原因
虫歯には、以下の3つの要素が関係しています。
- 歯の質
- 糖分
- 細菌（ミュータンス菌）
食べかすやプラーク（歯垢）に含まれる糖分が、口腔内の細菌によって酸に変えられ、歯のエナメル質を徐々に溶かして発生するのが「虫歯」です。虫歯の原因となる細菌の一種にストレプトコッカス・ミュータンス（ミュータンス菌）があり、糖分を酸に変える作用があります。
酸は歯の表面を侵食し、エナメル質を溶かします。この過程が繰り返されると、虫歯は歯のより深い部分まで進行し、痛みや感染症を引き起こす可能性が高まるのです。
シーラントとは
シーラントとは、虫歯予防として歯科医療で用いられる処置の一つです。奥歯の咬合面（噛み合わせる面）に存在する深い溝をレジンの材料で埋めることで、食べかすや細菌の付着を防ぎ、虫歯の発生を予防します。シーラントの材料にはフッ化物が含まれているものもあり、歯の再石灰化を促進し、虫歯に対する抵抗力を強化します。
生えてきたばかりの歯は、大人の歯とは異なり、咬合面に深い溝があるためブラッシングで十分に清掃できず、汚れが溜まりやすいです。歯の再石灰化は、こどもの歯にとって非常に重要な現象といえるでしょう。
シーラントは歯科医院で一般的に行われる治療で、条件を満たせば保険が適用されます。虫歯のリスクがあるこどもには、シーラントの施術を行うとよいでしょう。
シーラントの施術は、まず奥歯の溝部分を徹底的にクリーニングします。次に、レジン樹脂を溝に流し込み、特殊な光で硬化させて平滑な表面を作ります。シーラントの治療は歯を削る必要がなく、痛みもないため、こどもにとって負担が少ない治療です。
シーラントは、こどもの虫歯予防に非常に効果的な方法であり、こどもが歯科医院に慣れるよい機会でもあります。虫歯のリスクを減らし、健康的な口腔状態を維持するための大切な処置といえるでしょう。
虫歯予防にシーラントが効果的な理由
シーラントは、優れた虫歯予防効果で広く認識されています。特に、汚れが溜まりやすい歯の溝をレジンで埋めることで、細菌の付着を防止できるでしょう。シーラントに含まれるフッ化物は歯の再石灰化を促進し、虫歯の発生を抑制するのです。
実際に、シーラントを用いた予防策は非常に効果的であるとの研究結果も存在します。一部の研究によれば、シーラントを施した歯は4年以上にわたり、60%の虫歯予防効果があったと報告されています。歯の溝が深く、虫歯のリスクが高いこどもに対して、特に有効であるといえるでしょう。
しかし、シーラントは永久的に歯に留まるわけではありません。時間の経過とともに、シーラントが削れる、何らかの原因で剥がれることもあります。効果を持続させるためには、定期的にシーラントの施術を再度行うことが推奨されています。
シーラントのメリットとデメリット
シーラントは虫歯予防に効果的であり、将来的に歯を削らなくてよくなることなどがメリットです。デメリットとしては、虫歯の早期発見・治療のために定期的に通院が必要になることなどが挙げられます。
メリット
シーラントのメリットは、以下のとおりです。
虫歯のリスクを低減する
シーラントは、虫歯予防に特に効果的な治療法として広く認識されています。汚れが溜まりやすい歯の溝をシーラントで覆い、保護することで、虫歯の発生リスクを大幅に減らせることが理由です。
生えたばかりの永久歯は未熟で虫歯への抵抗力が弱く、虫歯の進行が早い傾向があります。こどもの虫歯は、予防が非常に重要なのです。
生えたばかりの永久歯にシーラントを施すことで、歯の溝に汚れが溜まることを防ぎ、虫歯の発生を防ぐことができます。こどもの歯の健康を維持するには、可能な限り早い段階でシーラントの施術を検討することが重要です。
歯を削るリスクが低減する
シーラントを施すことで、歯を削るリスクが低減します。虫歯になると、虫歯の部分を削らなければなりません。削った部分は人工歯で補えますが、使用する素材によってはリスクも大きいため、歯やお口の健康を維持するには、できる限り天然の歯を残すことが大切です。
シーラントは、歯の表面をレジンでコーティングするだけで虫歯の予防が可能です。痛みも伴わない簡単な処置で、長期的に歯を守ることができます。
デメリット
シーラントは虫歯の予防に非常に効果的な方法ですが、デメリットも認識しておく必要があるでしょう。シーラントのデメリットは、以下のとおりです。
定期的に通院する必要がある
シーラントが施された部分はコーティングされているため、虫歯が発生した場合に気づきにくいことがデメリットです。虫歯が初期段階であれば治療も比較的簡単ですが、進行すると治療が困難になることもあるでしょう。
生えたばかりの永久歯は虫歯になりやすく、虫歯の進行も早いとされています。シーラントを施した歯は、3〜4か月に1回の頻度で定期検診を受けることが推奨されています。
定期検診では歯科医師が歯の状態をチェックし、早期の虫歯を発見することが可能です。シーラントの状態もチェックし、必要であれば再施術を行うことで、継続的な虫歯予防を行うことができます。
シーラントが取れることがある
シーラントは、虫歯予防のために歯の溝にレジンを流し込んで固める処置であり、通常の詰め物に比べて取れやすいことが特徴です。通常の詰め物は歯を削って形状を整え、詰め物と歯がすき間なく接着されますが、シーラントは歯の表面に直接流し込んで固めるだけなので、結合力はやや劣ります。
シーラントが取れたり、欠けたりした場合は、再度処置が必要です。シーラントの効果を維持するには、定期的な歯科医院でのチェックが欠かせません。シーラントが取れたり欠けたりしていると気づいたら、早めに歯科医院を受診し、再度処置を行いましょう。
シーラントは非常に効果的な虫歯予防策ですが、効果を維持し続けるには、定期的なケアとメンテナンスが必要です。
シーラント治療の流れ
シーラント治療は、歯科用プラスチック素材を奥歯の溝に流し込み、光を当てて固めるだけです。歯を削るなどの処置は不要なので、痛みを伴いません。お子さまでも安心して治療を受けてもらえるでしょう。
シーラント治療の流れは、以下のとおりです。
歯の溝を洗浄する
歯科医師または歯科衛生士が、歯の咬合面にある溝を特別な道具で丁寧に洗浄します。
歯の溝に付着している食べかすや細菌などの汚れを取り除きます。
歯を乾燥させて、歯科用の接着剤を塗布する
歯を完全に乾燥させたあと、歯科用の接着剤を塗布します。
シーラントが歯にしっかりと固定され、長期間維持できるようにするための重要な前処置です。
シーラントを流し込む
シーラントという特殊な材料を歯の溝に流し込みます。
シーラントは液体状で、歯の形状に合わせて均等に広げていきます。
光を当てて硬化する
シーラントを固め、耐久性を持たせるために、特殊な光をシーラントに当てます。
硬化することでシーラントが歯にしっかりと固定され、高い虫歯予防効果を発揮します。
シーラント治療後の注意点
シーラント治療後の注意点はいくつかあります。シーラント治療を受けたからといって、絶対に虫歯にならないわけではありません。歯の側面や歯間などは口腔ケアをしっかり行う必要があります。
シーラント治療後の注意点は、以下のとおりです。
絶対に虫歯にならないわけではない
シーラントは重要な虫歯予防策の一つですが、行ったからといって絶対に虫歯にならないわけではありません。シーラントは歯の咬合面の溝に対する虫歯予防に特化しているため、歯と歯の間など、ほかの部分での虫歯の発生リスクは依然として存在します。
シーラント施術は、特に磨きにくい奥歯の溝の虫歯予防に効果的ですが、ほかの部分は通常どおり丁寧なブラッシングが必要です。歯間ブラシやフロスを使って歯と歯の間の清掃を怠らないことが、虫歯を防ぐために重要といえるでしょう。
シーラントの効果を最大限に引き出すためにも、毎日丁寧に歯磨きをすることが大切です。歯磨きは、虫歯だけでなく、歯周病などの口腔内の病気を予防する基本的なケアです。食後すぐや就寝前のブラッシングは特に重要で、口腔衛生を保つために欠かせません。
シーラントと日々の歯磨きを組み合わせることで、虫歯のリスクを最小限に抑えることができるでしょう。
再処置が必要な場合がある
シーラントの効果は永続的ではありません。シーラントは噛み合わせや食べ物の摩擦などにより、徐々にすり減ります。シーラント治療を受けてから約半年が経つと、ほとんどのシーラントが取れるという研究もあります。
定期的に検診を受け、シーラントの状態を見てもらいましょう。必要な場合は再度処置を行うことで、持続的な虫歯予防につながります。シーラントの効果は永続的ではないので、一度の施術で終わりではないことを理解しておきましょう。
シーラントの費用と保険適用について
シーラントの保険適用には一定の条件があります。6歳から12歳までのこどもで、初期の虫歯が確認された乳歯や、生えたばかりの永久歯のみが対象です。13歳以上のこどもや、健康な歯に対する虫歯予防目的でのシーラント施術は、保険適用されません。
保険適用の場合のシーラントの施術費用は、1歯あたり3割負担で約400〜600円です。比較的安価な費用で受けられるので、積極的にシーラントを受けて虫歯予防に努めましょう。
まとめ
シーラントは、こどもの虫歯予防に非常に効果的です。永久歯が生えたばかりの頃は、歯が未熟であり虫歯になりやすい状態です。フッ素塗布と合わせてシーラントも行うことで、より虫歯のリスクを低減できます。
しかし、シーラントを行ったからといって完全に虫歯を防げるわけではありません。歯の側面や歯間など、シーラント治療をしていない部分は虫歯のリスクが高い状態です。歯磨きはお子さまだけに任せず、必ず仕上げ磨きを行ってください。シーラントについて気になることがあれば、歯科医院に相談するとよいでしょう。
お子さまへのシーラント治療を検討されている方は、京都府京都市左京区にある医療法人社団 京都下鴨ライフ歯科・矯正歯科・小児歯科にご相談ください。
奥村 亮司
