こんにちは。京都市左京区にある、京都下鴨ライフ歯科・矯正歯科・小児歯科です。
「こどもの頃に矯正器具をつけるのは嫌だったけれど、社会に出ると歯並びが気になり、見た目をよくしたい」と矯正を検討する方が多くいらっしゃいます。矯正で歯並びがキレイになると、笑顔が増えて前向きな気持ちになれるでしょう。矯正は外見が美しくなるだけでなく、噛み合わせのバランスが整い、お口の機能が向上します。
今回は、成人矯正の特徴や種類、費用について詳しく解説します。矯正は大きな自己投資ですので、知識を身につけて、慎重に検討しましょう。
Contents
矯正治療をはじめるタイミングは?
矯正はこどもや若い方がするイメージが強いですが、40代や50代から始める方も多くいらっしゃいます。一般的には、若い方のほうが歯周組織が安定しているため、トラブルが発生するリスクが低くなります。
しかし、お口の状態に問題がなければ、矯正に年齢制限はなく、ご自身のタイミングで始められます。大人になると、就職や引っ越し、結婚などで生活が忙しくなり、矯正治療に通うのが難しくなる場合がが多いです。矯正治療の途中で引っ越す場合、転院も可能ですが、一人の歯科医師に最初から最後まで見てもらうほうが安心できるでしょう。
ワイヤー矯正は4〜5週間ごとに通院が必要ですが、インビザライン矯正は、通院期間を2〜3か月空けることもできます。ご自身の事情を含めて、最適な矯正方法を選ぶことが重要です。
成人矯正治療のメリット
成人矯正は、見た目の改善だけでなく、虫歯や歯周病のリスクが軽減するなど、お口の健康にも大きなメリットがあります。成人矯正治療のメリットについて詳しく解説します。
コンプレックスがなくなり、自信が持てる
歯並びの悪さがコンプレックスだった場合、矯正することで口元に自信がもてるようになり、性格が前向きになります。幼少期に歯並びの悪さをからかわれたことが原因で、人と話すことが苦手な方もいるでしょう。
笑顔が美しくなることで、人からの印象がよくなり自信がつきます。
歯磨きが楽になる
歯が重なっている場合、歯と歯の間を磨くのは思いのほか大変です。歯のすき間に歯ブラシが届かないため、補助用具を使おうとしても狭くてデンタルフロスが入らないこともあります。フロスや歯間ブラシを使うと歯磨きに時間やお金がかかりますし、毎食後の歯磨きを考えると相当な労力が必要です。
矯正で歯磨きの効率がよくなると、歯磨きのストレスから解放されるでしょう。
虫歯や歯周病のリスクが減る
歯並びが悪いと、歯に汚れがたまりやすくなったり口呼吸で菌が繁殖したりと、虫歯のリスクが高まります。また、噛み合わせのバランスが悪く、1か所に噛む力が集中すると歯に負担がかかるため、歯周病になりやすくなります。
矯正で噛み合わせや歯並びを改善することで、歯の寿命を延ばすことが可能になります。
滑舌が改善される
すきっ歯や上下の前歯にすき間がある場合、舌ですき間を防いで話すため、滑舌が悪くなることがあります。滑舌の問題だけでなく、舌で前歯を押し続けると、前歯が出る恐れもあるのです。
矯正することで、滑舌がよくなり、歯並びが悪化するのを防止できるでしょう。
自分の意志で始めるため、途中でやめてしまうリスクが低い
小児矯正の場合はきっかけがご両親の希望によることが多く、矯正を始めてもお子様が嫌がり、続かない可能性があります。矯正には、装置の使用をサボらずに続けたり、歯を動かす痛みを我慢したりなど、強い意志が必要です。
成人矯正では、自分で高額な費用を出しているため、強い意志をもって矯正をやり遂げることができるでしょう。
噛む能力が向上し、健康維持につながる
噛み合わせのバランスが崩れていると、弾力のあるものや硬いものが食べられません。矯正で正常な噛み合わせを取り戻すことで、噛む能力が向上し、健康維持につながります。
全身状態の改善
噛み合わせは、口周りだけでなく全身の健康に大きく関わります。左右がズレた状態で噛んでいると、肩こりや頭痛がひどくなる場合があります。また、前歯が突出している方は口が閉まりにくくなり、口呼吸になる可能性が高くなります。
歯並びや噛み合わせを整えることは、全身の不調の改善にもつながるでしょう。
成人矯正治療のデメリット
メリットの多い成人矯正ですが、大人の矯正特有のデメリットも存在します。デメリットを理解して、できるだけリスクの少ない矯正方法を選びましょう。成人矯正のデメリットについて解説します。
矯正中の痛みがある
歯を動かすときに、個人差はありますが多少の痛みを伴います。社会人では、仕事や私生活のストレスに加えて矯正中の痛みが加わると、矯正を後悔する可能性がまったくないとは言い切れません。
痛みが強い場合は、ワイヤーをゆるめたり痛み止めを処方したりなどの対応が可能なため、我慢せず歯科医師に相談しましょう。
抜歯する場合がある
健康な歯を抜くことに抵抗がある方がいるかもしれませんが、症状によっては抜歯をせずに矯正することが難しい場合があります。すでに治療している歯を抜歯するなど、できる限り健康な歯を残す方法もあります。
矯正後に理想の状態を維持するためにも、納得したうえで矯正治療を進めましょう。
歯周病になっている場合、悪化する恐れがある
歯周病の重症度によりますが、歯周病が進行している場合、歯を動かすことでさらに歯周病が悪化する恐れがあります。骨の状態を調べるには、レントゲン写真や精密検査が必要です。
矯正専門医で矯正する場合、歯周病も診てくれる歯科医院を選ぶか、かかりつけ医と連携して慎重に進めてくれる矯正歯科を選ぶことをおすすめします。
骨や歯根が吸収される恐れがある
矯正は、歯を動かす方向の骨が吸収され、反対側の骨が再生されて歯が移動するという仕組みになっています。加える力が大きすぎると、骨の再生がうまくできなかったり歯根が吸収されたりするなどのトラブルが発生します。
矯正を始める前に、骨の量や歯根の長さを細かく調べて、リスクのない方法で矯正をすることが重要です。
矯正器具の見た目がよくない
ワイヤー矯正は器具が目立つため、躊躇する方もいらっしゃるでしょう。
現在は、金属の色ではなく、白いワイヤーやセラミックのブラケットもあります。また、インビザラインは、透明のマウスピースで矯正するため、見た目がほとんど変わりません。
費用がかかる
矯正は自由診療であるため、治療費が高額です。
お金をかけて矯正したにもかかわらず、理想の歯並びにならなければ後悔するかもしれません。矯正を始めるときは、歯科医院や矯正方法を慎重に選びましょう。
矯正期間が長い
全体の歯列を整えるには、通常、数年程度かかります。また、矯正が終わったあとも、保定装置の調整やメンテナンスが必要です。さらに、保定装置の使用を怠ると、後戻りをする恐れがあります。
矯正治療が完了したあとも、定期検診で保定装置の不具合がないかチェックすることで、キレイな歯並びを維持できるでしょう。
成人矯正治療の種類
成人矯正治療にはさまざまな種類があり、特徴が異なります。それぞれのメリット・デメリットを知ったうえで、自分に合った矯正方法を選びましょう。矯正方法の種類や特徴は、以下のとおりです。
表側のワイヤー矯正
表側のワイヤー矯正は、歯の表側にブラケットをつけて、ワイヤーを通して力を加える矯正方法です。金属のワイヤーが主流ですが、目立ちにくい白いワイヤーや透明のブラケットを選ぶことも可能です。
表側のワイヤー矯正のメリット・デメリットを以下にまとめてみました。
<表側のワイヤー矯正のメリット・デメリット>
メリット | デメリット |
---|---|
・実績が多く、幅広い症例に適応できる ・細かい調整がしやすいため、精度が上がる ・取り扱っている矯正歯科が多い | ・ワイヤーやブラケットが目立つ ・食べ物がつまりやすい ・汚れがたまりやすく、歯磨きに時間がかかる ・ワイヤーで粘膜を傷つけることがある |
裏側のワイヤー矯正(リンガル矯正)
裏側のワイヤー矯正は、歯の裏側にブラケットをつけて、ワイヤーを通して力を加える矯正方法です。他人からは矯正器具が見えないため、外見が変わらないのが特徴です。
裏側のワイヤー矯正のメリット・デメリットを以下にまとめてみました。
<裏側のワイヤー矯正のメリット・デメリット>
メリット | デメリット |
---|---|
・他人から器具が見えないため、外見を気にしなくてよい ・裏側にブラケットをつけるため、表側の歯の表面がキレイに保てる ・歯の裏側は唾液による自浄作用があるため、表側ワイヤーに比べて虫歯になりにくい |
・表側のワイヤー矯正より、矯正期間が長くなる ・舌がワイヤーに当たり、傷つける恐れがある ・お口の空間が狭くなり、滑舌が悪くなることがある ・食べ物がつまりやすい ・高い技術が必要であるため、技術不足の歯科医院では失敗する可能性がある |
マウスピース矯正
マウスピース矯正は、透明のマウスピースをはめて歯に力を加える矯正方法です。現在、マウスピース矯正の中ではインビザライン矯正が主流です。マウスピースは、基本的に終日装着しなければなりませんが、写真撮影や結婚式など状況に合わせて取り外しが可能です。
マウスピース矯正のメリット・デメリットを以下にまとめてみました。
<マウスピース矯正のメリット・デメリット>
メリット | デメリット |
---|---|
・マウスピースを外して、食事や歯磨きができる ・マウスピースは透明であるため、目立ちにくい ・金属アレルギーの心配がない ・通院間隔を2〜3か月空けることができる ・ワイヤー矯正に比べて、お口の粘膜を傷つけにくい |
・マウスピースの洗浄や管理が必要である ・マウスピースは1日20~22時間装着する必要があり、忘れると歯がスムーズに動かなくなる ・重度の症状では、適応できない場合がある |
部分矯正
部分矯正は、問題のある歯を部分的に移動させる矯正方法です。すべての歯を並べるよりも、短い期間で安く矯正することが可能です。
部分矯正のメリット・デメリットを以下にまとめてみました。
<部分矯正のメリット・デメリット>
メリット | デメリット |
---|---|
・費用を抑えて矯正できる ・短期間での矯正が可能である ・前歯だけなど希望に合わせて対応できる |
・適応できる症例が限定される ・奥歯の噛み合わせは改善できない ・スペース確保のため、歯の側面を削る場合がある |
セラミック矯正
セラミック矯正は、歯の周囲を削ってセラミックのかぶせ物を装着し、歯並びを整える矯正方法です。歯の表面を薄く削り、セラミックのベニヤ板を貼る方法もあります。歯を移動させないため短期間で治療できますが、健康な歯を削ることで歯の寿命を縮める可能性があるでしょう。
セラミック矯正のメリット・デメリットを以下にまとめてみました。
<セラミック矯正のメリット・デメリット>
メリット | デメリット |
---|---|
・短期間で歯並びを整えられる ・歯を移動させないため、ため治療中の痛みが少ない ・歯の色や形を自由に変えられる |
・歯を削るため、歯がもろくなり抜歯のリスクが高まる ・セラミックが割れる可能性がある ・セラミックと歯の間が虫歯になりやすい ・歯をたくさん削る場合、歯の神経を抜くことがある |
矯正をしたほうがいい歯並びとは?
歯並びは、外見や全身状態に大きな影響を及ぼします。例えば、左右の噛み合わせがズレていると、噛むたびに顎をずらしているため、顎関節症を発症する恐れがあります。ここでは、矯正をしたほうがいい歯並びについて詳しく解説します。
出っ歯(上顎前突)
前歯は目がいきやすい場所であるため、口元が前に出ているとコンプレックスに感じている方が多いです。また、見た目の問題だけでなく、歯が出ていることで奥歯に負担がかかり、歯が割れるなどトラブルが生じやすくなります。
受け口(下顎前突)
下の前歯が上の前歯より出ている状態を「受け口」といいます。受け口の場合、下顎が大きく見えたり発音が悪くなったりします。骨格に問題がある場合は、歯列矯正だけでは受け口が治らないこともあります。骨格を治すには、外科手術が必要です。
開咬
噛んだときに、上下の前歯が開いた状態を開咬といいます。開咬の場合、前歯で噛みちぎれず奥歯ばかり使うため、奥歯にトラブルが発生する恐れがあります。
奥歯がしっかり噛めてない
左右の噛み合わせがズレた状態で食事をしていると、顎が変形する恐れがあります。奥歯が噛みにくいと前歯を過剰に使うため、前歯に過度の負担がかかるかもしれません。矯正で、奥歯をバランスよく噛めるようにして噛む力を分散させることで、歯が割れるなどのトラブルを回避できます。
過蓋咬合
前歯の噛み合わせが深く、上の前歯が覆いかぶさり下の前歯が見えていない状態を「過蓋咬合」といいます。下の前歯が上の前歯を突き上げたり、上顎を刺激したりすることでトラブルが発生する恐れがあります。
成人矯正治療にかかる費用と期間
矯正は自由診療になるため、費用が高くなります。また、矯正の種類によって費用に差があるため、それぞれの特徴や費用を含めて検討する必要があります。
成人矯正治療にかかる費用と期間は、以下のとおりです。
<成人矯正治療にかかる費用と期間の目安>
矯正にかかる期間 | 費用の目安 | |
---|---|---|
表側のワイヤー矯正 | 1年半~3年程度 | 600,000~1,100,000円 |
裏側のワイヤー矯正 (リンガル矯正) | 1年半~3年程度 | 800,000~1,300,000円 |
マウスピース矯正 | 1年半~3年程度 | 700,000~1,100,000円 |
部分矯正 | 数か月~1年程度 | 100,000~500,000円 |
セラミック矯正 | 数か月程度 | 1本 80,000~150,000円 |
上記の費用に追加して、検査料や保定装置の費用がかかる場合があります。
<そのほかにかかる費用>
・初回の検査料・診断料:30,000~60,000円程度
・通院ごとの診察料:2,000~5,000円程度
・保定装置の費用:10,000~50,000円程度
・メンテナンス通院時の診察料:3,000~4,000円程度
医療費控除の対象になるケースがある
見た目の改善を目的とした矯正は、医療費控除の対象にはなりません。
しかし、噛み合わせに問題があるなど、治療を目的とした矯正の場合は、医療費控除の対象になります。詳しくは、国税庁のホームページでご確認ください。
まとめ
今回は、大人の矯正治療について解説しました。矯正の種類も多く費用にも大きな差があるため、なかなか矯正に踏み出せないという方も多いでしょう。矯正方法によってメリットやデメリットが異なるため、歯科医院は慎重に選ぶ必要があります。矯正を検討している方は、一度矯正歯科に相談されることをおすすめします。多くの歯科医院では、初回カウンセリングは無料で行っています。歯列矯正は長期に及ぶため、モチベーションを維持して、安心して通院できる歯科医院を選びましょう。
矯正を検討されている方や歯並びにお悩みがある方は、京都市左京区にある、京都下鴨ライフ歯科・矯正歯科・小児歯科にご相談ください。
奥村 亮司