こんにちは。京都府京都市左京区にある医療法人社団 京都下鴨ライフ歯科・矯正歯科・小児歯科です。
矯正治療によってきれいになった歯並びが、もとの状態に戻ることを後戻りとよびます。後戻りした場合、矯正治療をもう一度やり直す必要がありますが、後戻りを治療することを後戻り矯正とよびます。
長い期間かけて矯正治療を行って手に入れた歯並びが、もとに戻るのはなぜでしょうか。矯正治療は歯並びが整えば終わりではありません。
矯正治療終了後は、動かした歯をしっかり固定するための保定期間が設けられています。保定期間に定期的なメンテナンスを怠ると、歯がもとの位置に戻る後戻りが生じるのです。
今回は、矯正治療における後戻りの原因や対処法について詳しく解説します。後戻りを起こした場合の対処法や、矯正治療後の後戻りを防ぐ方法もご紹介します。
矯正治療終了後も美しい歯並びを保つために、ぜひ参考にしてください。
Contents
矯正治療後の後戻りとは?
後戻りとは、矯正治療終了後に歯並びがもとの状態に戻る現象のことです。後戻りを改善するために再び矯正治療を行い、歯並びや噛み合わせを調整することを後戻り矯正とよびます。
通常、矯正治療では、矯正器具を用いて1~3年ほどかけてゆっくり歯を移動させます。歯が移動したあと、歯根の周りの骨がしっかり安定して固定されるまでには約3~4年かかるでしょう。
特に、矯正治療が終了した直後の歯はまだ安定していないため、何も装着せずに過ごすともとの位置に戻ります。そのため、矯正治療終了後は後戻りを防ぐために、歯に保定装置(リテーナー)を装着しなければなりません。
リテーナーを装着して歯列を安定させる期間を、保定期間とよびます。歯の保定が不十分だと後戻りが生じやすくなるため、矯正治療の期間と同様に保定期間も重要です。
矯正治療後の後戻りの原因
後戻り矯正をして再び歯並びを整えても、後戻りした原因を理解していなければ後戻りを繰り返すでしょう。矯正治療を受けたすべての人において、後戻りする可能性はあります。そのため、矯正治療を行う際は、後戻りする原因について理解することが重要です。
ここでは、後戻りの主な原因について詳しく解説します。
リテーナーの装着が不十分だった
矯正治療が終了したあとは、後戻りを防ぐためにリテーナーを装着して歯の保定を行います。保定期間中にリテーナーを正しく装着していなかった場合や、装着時間が不足していた場合、矯正治療後の歯を正しい位置に維持できません。
歯根の周りの骨がしっかり安定して固定されるまでの3~4年間、リテーナーを使用して歯を正しい位置に維持する必要があります。リテーナーの装着が不十分だった場合、歯のもとの位置に戻る力が強くなり、徐々に後戻りするのです。
矯正治療が終了しても、医師の指示に従ってリテーナーを正しく装着することが重要です。
歯並びを悪化させる癖がある
日常生活のなかで無意識に行う癖や習慣が、後戻りの原因となる可能性があります。
- 頬杖をつく
- うつ伏せ・横向きで寝る
- 口呼吸をする
- 唇を巻き込む
- 前歯で下唇を噛む
- 舌を前に突き出して歯を押す
- 歯ぎしりや食いしばりの癖がある
- 爪を噛む
- 片側だけでものを噛む
- 猫背など、姿勢が悪い
上記のような癖や習慣がある人は、矯正治療後に後戻りしやすいため注意が必要です。歯に力が加わって動くことで、後戻りする可能性があるのです。
歯並びに影響を与える癖や習慣がある人は、後戻りを防ぐためにも改善しましょう。
噛み合わせが悪い
噛み合わせの悪さも、矯正治療後の後戻りの原因となります。奥歯の噛み合わせが安定していない場合や、噛む力が極端に弱い場合も、後戻りが生じる可能性があります。
噛み合わせの問題が後戻りの原因となっている場合は、後戻り矯正を行う際に噛み合わせも一緒に改善する必要があるでしょう。
矯正前の治療が不十分であった
骨格的な要因で歯並びが乱れている症例においては、矯正治療に加えて外科的手術が必要な場合があります。例えば、下顎が大きすぎることで受け口となっている場合や、下顎が側方に歪んでいる場合などが該当します。
骨格に対する外科手術が必要であるにも関わらず、歯の移動のみに頼って矯正治療を行った場合や、歯が並ぶスペースがないのに抜歯をせずに無理に歯を並べた場合、後戻りしやすいでしょう。
外科的手術を併用した矯正治療や抜歯はできる限り避けたいと思う人が多いですが、矯正治療開始前にしっかりと外科手術を行わなければ後戻りする可能性が高まるのです。
h歯根が移動する前に保定に入った
矯正治療が終了した際に、歯根まで確実に移動していない状態で保定期間に入ると、後戻りの原因となります。抜歯してから矯正治療を行う場合は、抜歯したスペースを埋めるために歯の見える部分(歯冠)だけでなく、骨の中の歯根までしっかり移動させる必要があります。
歯根が移動していない状態で歯冠だけでスペースを埋めると、後戻りの力が大きく働くので後戻りしやすいでしょう。歯冠と歯根の両方がしっかり移動したことを確認しながらスペースを埋めることで、後戻りするリスクを軽減できます。
矯正治療後に後戻りを起こした場合の対処法
矯正治療後に後戻りした場合、歯並びが自然に治ることは期待できません。リテーナーを使用しても、歯並びの改善は見込めないのです。リテーナーは歯を固定するための装置であって、歯を動かすためのものではないからです。
リテーナーが合わなくなるほど大きく後戻りした場合は、再び矯正治療をする必要があります。後戻りが生じた場合は、早めに矯正治療を受けた歯科医院に相談し、なるべく早く診察を受けましょう。
後戻り矯正を行う際は、ただ歯をもとの位置に戻すだけではなく、後戻りした原因まで特定して解決することが重要です。後戻りした原因が解決されない限り、後戻り矯正を行っても再び後戻りする可能性があるためです。
矯正治療後の後戻りを防ぐ方法
矯正治療後に後戻りを防ぐために重要なポイントを確認しましょう。
- リテーナーを正しく使用する
- 歯並びに影響を及ぼす癖や習慣を見直す
- 歯周病を予防する
- 矯正治療終了後も定期的にメンテナンスを受ける
それぞれ解説します。
リテーナーを正しく使用する
矯正治療終了後、歯がしっかり固定されるまでの保定期間は最短でも2年といわれています。保定期間中に医師の指示に従ってリテーナーを正しく装着できるかどうかが、矯正治療後の後戻りを防ぐための重要なポイントです。
矯正治療終了後は、矯正装置が外れて歯並びもきれいになり、気が緩む人が多いです。
しかし、リテーナーを正しく装着しないと後戻りが起こります。必ず医師の指示に従ってリテーナーを装着しましょう。
矯正装置が外れて最初の1年は、最低でも1日20時間リテーナーを装着する必要があります。食事と歯磨きの時間以外は装着しましょう。
リテーナーの装着時間は徐々に短くなり、就寝時のみになるケースが多いです。2年ほど正しくリテーナーを装着し、保定期間が終了すれば、後戻りのリスクはほとんどありません。
リテーナーの装着期間は、矯正治療にかかった期間と同程度とする歯科医院もあります。医師の指示を守ってリテーナーを正しく装着し、美しい歯並びを保ちましょう。
歯並びに影響を及ぼす癖や習慣を見直す
日常生活で無意識に行う癖や習慣は、わずかな力でも継続的に歯に力を加えます。歯並びに影響を及ぼす癖や習慣がある人は、改善するように心がけましょう。
癖は無意識に行うことが多く、改善するのは難しいでしょう。
しかし、頻度が減るだけでも後戻りのリスクを低減できます。美しい歯並びを保つために、意識して過ごしましょう。
歯周病を予防する
歯周病が進行すると、歯の周囲の骨を溶かします。歯を支える骨の状態が悪くなると、歯並びは崩れやすくなり後戻りの原因となります。矯正治療中はもちろん、矯正治療終了後も歯周病にならないように十分気をつけましょう。
矯正治療終了後も定期的にメンテナンスを受ける
矯正治療後も定期的に通院して、歯並びなどがずれていないか、リテーナーに問題がないかなどをチェックします。定期的に通院することで、後戻りしそうな予兆がある場合に迅速に対応できます。
治療が終わっても、定期的にメンテナンスを受けることが重要です。
まとめ
長い期間がかかる矯正治療を終えても、少しの気の緩みで歯並びがもとに戻る後戻りが起こる可能性があります。歯並びが見た目上きれいに整っても、矯正治療は終わりではありません。
歯が移動したあとにしっかり固定されるまで、矯正治療と同程度の時間がかかります。保定期間にリテーナーを正しく装着し、日々のセルフケアや定期的な通院を怠らないことが、美しい歯並びを保つために重要です。
また、歯並びに影響を与える癖や習慣を治すように心がけることも大切です。
お金と時間をかけてきれいにした歯並びを長く美しく保つためにも、治療終了後もしっかりとメンテナンスを継続しましょう。
矯正治療後の後戻りにお悩みがある方は、京都府京都市左京区にある医療法人社団 京都下鴨ライフ歯科・矯正歯科・小児歯科にご相談ください。
奥村 亮司