こんにちは。京都市左京区にある、京都下鴨ライフ歯科・矯正歯科・小児歯科です。
子どもの歯が虫歯になってしまったらどうしたらいいのか、心配になる方も多いでしょう。ご自身の歯と違って、何か症状を感じることもないため、対応がわからない場合もあるかもしれません。
今回は、乳歯の虫歯の特徴と治療法、また放置するリスクと予防法について詳しく解説していきます。
乳歯の虫歯 3つの特徴
乳歯の虫歯は、永久歯の虫歯と比較して3つの特徴があります。
1.虫歯になりやすく進行が早い
乳歯は、永久歯と比較して歯の質が柔らかい構造になっているため、虫歯になりやすく、虫歯になった場合は進行が早いという特徴があります。また、乳歯は、歯の一番表層にあたる「エナメル質」と二番目の層にあたる「象牙質」が薄いため、虫歯の進行が早いだけでなく、すぐに歯の神経にまで虫歯が進んでしまいます。
2.色が黒くない
虫歯というと黒い色をしているイメージがあるかもしれませんが、乳歯の虫歯は黒色ではなく、茶色や白色のものが多いです。虫歯は進行していく過程でだんだんと黒くなりますが、乳歯は進行が早いため、黒くならないことが多いのです。色が茶色や白色の場合、親御さんが虫歯だと気がつかずに、発見が遅れてしまうことがあります。
3.痛みがない虫歯がある
乳歯の虫歯は痛みがないことが多いです。こどもは痛みの感覚が発達していないため、虫歯になっても痛みを感じないことがあります。虫歯が神経まで到達すれば痛みを感じることが多いですが、あっという間に神経が死んでしまうので、すぐに痛みを感じなくなります。こどもから痛みを訴える機会が少ないため、虫歯の発見が遅れてしまうことがあるでしょう。
乳歯の虫歯ができやすいところ
乳歯の虫歯ができやすいところは以下の3か所が多いです。
- 上の前歯
- 奥歯の咬む面
- 奥歯の歯と歯の間
それぞれの特徴と予防法について解説していきます。
上の前歯
上の前歯は1歳前後の比較的早い時期から生えてきます。上の前歯の根本や歯と歯の間には汚れが停滞しやすく、特にジュースやスポーツドリンク、乳酸菌飲料など、砂糖が含まれているものは虫歯のリスクを高めます。丁寧なブラッシングが重要といえるでしょう。
上の前歯と唇の間の粘膜部分には「上唇小帯(じょうしんしょうたい)」というヒモ状の筋があります。とても敏感な部分になるので、唇に力が入り、仕上げみがきが不十分になることがあります。上唇小帯にブラシが当たらないよう注意しながら、しっかりと前歯の根本までブラッシングをしましょう。
奥歯の咬む面
3歳近くで奥歯が生えてくると、奥歯でさまざまな物を噛んで食べられるようになります。奥歯の溝は、食べかすや虫歯菌が溜まりやすく、特に上の奥歯は見えづらい場所でもあるので、しっかりと仕上げみがきを行うことが大切です。
奥歯の歯と歯の間
3歳頃になると、乳歯が生え揃います。前から4番目と5番目の歯は、乳臼歯という奥歯です。
奥歯の歯と歯の間は、歯ブラシでは十分に汚れをとることができません。仕上げみがきで、デンタルフロス習慣をつけていくとよいでしょう。
乳歯の虫歯を放置すると
「乳歯は永久歯に生え変わるので、虫歯になっても大丈夫」と思っている方も多いのではないでしょうか。乳歯の虫歯を放置すると、こどもの歯や口の健康な成長を阻害する恐れがあります。
ここでは、乳歯の虫歯を放置したときに考えられる影響について解説します。
永久歯が弱くなる
乳歯の根の下には、次に生えてくる永久歯が埋まっています。乳歯の虫歯が進行し、乳歯の根の先まで感染が広がると、歯の質が弱い永久歯が生えてきてしまうことがあります。
歯並びに悪影響がある
乳歯は、永久歯が生え出てくるのを誘導する役割があります。乳歯が虫歯になってしまい、歯の根などが大きく失われてしまうと、永久歯を正しい位置に誘導しづらくなります。永久歯の歯並びにも影響するので、注意が必要です。
しっかり噛めなくなる
乳歯の生えている時期から、こどもは次第に「しっかり噛む」「咀嚼する」という動作を覚えて、習慣にしていきます。乳歯が大きな虫歯になってしまうと、歯は噛み合わない状態になり「しっかり噛む」ことを覚えられなくなります。
正しい発音ができなくなる
歯は、発音の手助けをします。例えば、サ行やタ行は前歯を利用して発音しています。虫歯で歯を損なうと、うまく発音できなくなってしまう可能性が高いです。たくさん言葉を覚えていく年齢に、正しい発音を覚えられなくなってしまいます。
乳歯の虫歯の治療法
乳歯が虫歯になってしまった場合でも「虫歯を削り取って、詰め物や被せ物で修復をする」という基本的な治療方法は、永久歯と同じです。
ただし、年齢により十分な治療ができない可能性もあるでしょう。こどもが治療に協力的になるまでは、虫歯の進行を抑える薬を塗布し、歯科治療に使う器具に慣れるように練習をします。治療ができるようになるのを待つことがありますので、念頭においておきましょう。
虫歯の進行を抑える薬とは
「フッ化ジアンミン銀」という成分が入った薬を塗布します。虫歯の部位に塗布すると、歯の色が黒くなります。見た目が黒く目立ってしまいますが、虫歯の進行抑制に効果があるのです。最終的に削って詰め物をすることを前提として、治療ができるようになるまで、薬を塗布します。
自宅でできる虫歯予防
虫歯を予防するには、自宅と歯科医院の両方で虫歯予防をすることが理想です。虫歯は生活習慣が大きく影響する病気なので、どちらか一方では不十分になりがちです。
ここでは、自宅でできる3つの予防方法をご紹介します。
毎日仕上げみがきをする
乳歯の時期は、こども自身だけでは十分に汚れを取ることができません。必ず仕上げみがきが必要です。1日1回は必ず行うようにしましょう。
寝ている間、虫歯菌は活発になります。夜寝る前は丁寧にみがくようにしましょう。
フッ素配合の歯みがき粉を利用する
フッ素(フッ化物)は、歯を強く硬くし、虫歯菌の出す酸に対して強くします。自宅では、フッ素配合の歯みがき粉や歯みがきジェルなどを利用するのがおすすめです。
キシリトールを利用する
キシリトールは糖の一種ですが、砂糖と違い、虫歯菌のエサになりません。さらに、虫歯菌の力が弱くなるので、キシリトールを利用するのがおすすめです。
キシリトールといえばキシリトールガムが有名ですが、乳歯の時期にガムは食べにくいので、ラムネのようなタブレット状のものが利用しやすいでしょう。一度に摂取するとお腹がゆるくなることがあるので、必ず保護者の管理のもと、量を決めて摂取するようにしましょう。
歯科医院で行う虫歯予防
歯科医院で行う虫歯予防について解説します。
フッ素塗布を受ける
歯科医院では、自宅で利用できるフッ素よりも高濃度のフッ素を塗布できます。濃度が高い分、1回でもしっかり作用します。自宅でフッ素入りの歯みがき粉やジェルを利用していても併用可能です。
シーラントを行う
シーラントとは、奥歯の溝を歯科用樹脂(プラスチック材)で薄く埋める予防処置のことです。奥歯の溝は、汚れが溜まりやすいだけでなく、見た目以上に深さがあり、歯ブラシで届かない場合があります。あらかじめ溝を薄く埋めてしまうことで、汚れが溜まりにくくなるでしょう。
ただし、シーラントを行えば完全に虫歯を予防できるわけではありません。虫歯のリスクを減らすことができますが、シーラントを行なったあとも毎日の歯みがきは非常に重要です。
ブラッシング指導を受ける
ブラッシング指導を受けると、自宅での毎日の歯みがきがより効果的になります。お子様の歯みがきの練習になるだけではなく、みがき残しが多い場所を教えてもらったり、みがき方のポイントを教えてもらうことができるので、仕上げみがきがレベルアップするでしょう。
まとめ
今回は、乳歯の虫歯の特徴と治療法、また放置するリスクと予防法について詳しく解説しました。
乳歯でも虫歯にならないようにすることが一番ですが、もし虫歯になってしまった場合には、早めに治療をすることが大切です。いずれ抜ける乳歯だからといって、放置してはいけません。乳歯の虫歯は進行が早いので、永久歯やお口の発育に影響が起きることがあります。自宅や歯科医院で虫歯予防を行いながら、もし虫歯ができてしまったら早めに対処するようにしましょう。
こどもの虫歯や治療についてお悩みがある方は、京都市左京区にある、京都下鴨ライフ歯科・矯正歯科・小児歯科にご相談ください。
奥村 亮司