こんにちは。京都府京都市左京区にある、医療法人社団 京都下鴨ライフ歯科・矯正歯科・小児歯科です。
こどもの矯正治療のひとつに、顎を広げる治療があります。主に顎の骨が成長する時期行われ、顎を広げることで歯がきれいに並ぶ土台を作ることが目的です。
今回は、顎を広げる小児矯正方法の特徴を詳しくご紹介します。
Contents
こどもの歯並びが悪くなる原因
こどもの歯並びが悪くなる原因は、大きくわけて2つあります。ひとつは癖や生活習慣などの環境的要因、もうひとつは先天的な遺伝的要因です。
環境的要因
環境的要因としては、癖や生活習慣などさまざまなものが挙げられます。思いあたる習慣がある方は注意が必要です。具体的な環境的要因は、以下のとおりです。
おしゃぶりの使用や指しゃぶりの癖
乳児の頃のおしゃぶりの使用や指しゃぶりの癖は問題ありませんが、3〜4歳以降も続く場合は歯並びが悪くなる原因になります。口を閉じても上下の前歯にすき間があく状態や、出っ歯のような状態になることがあるのです。
舌の癖
舌は本来、上顎の前歯よりも少しうしろに位置します。舌で歯を押す癖がある場合や、上下の歯の間に舌を入れる癖がある場合、歯並びが悪くなることがあるのです。
唇を噛む・吸うなどの癖
唇を噛む・吸うなどの癖があると、唇に触れている前歯が力のかかる方向に倒れやすくなります。
口呼吸
鼻で呼吸をする鼻呼吸が正常な呼吸法です。口で呼吸することが癖になると、口の周りの筋肉のバランスが乱れ、歯並びが悪くなることが多いです。
頬杖をつく癖や横向きで寝る癖
頬杖をつくと、片側の歯や顎に力が加わります。力が加わり続けると、顎が左右にずれて噛み合わせが悪くなる原因になります。横向きで寝る習慣があり、片方の顎にばかり負荷がかかる人も注意が必要です。
片側で噛む癖
片側で噛む癖があると、顎の歪みの原因になります。顎の歪みは、噛み合わせや歯並びが乱れる原因にもなるでしょう。例えば、虫歯などで噛むと痛む歯があると、片側で噛む癖がつきます。しっかりと噛めるように、口腔内の健康を保つことが大切です。
悪い姿勢
猫背などの悪い姿勢は、身体に歪みを生じます。身体が歪むと顎の位置がずれるなど、噛み合わせが歪むことがあるのです。
乳歯の早期脱落
虫歯などによって乳歯を早い段階で失うと、空いたスペースに両隣の歯が動き、永久歯が生えるスペースが狭くなることがあります。十分なスペースがない場合、永久歯が斜めに生えることや歪んで生える原因になるでしょう。
遺伝的要因
顔や顎の骨の形や大きさ、歯の大きさ、舌の大きさなどは両親から遺伝します。
ただし、親の歯並びがそのまま引き継がれるわけではありません。歯並びには、両親の骨格や、歯・舌の特徴などの遺伝的要因に加えて、上述した環境的要因が複雑に影響します。
とはいえ、遺伝的に顎が小さい場合には、歯並びが悪くなりやすいといえるでしょう。
顎を広げる小児矯正方法とは
顎の大きさなど、悪い歯並びの遺伝的要因に対して、歯がきれいに並ぶための土台作りをするのが、顎を広げる矯正治療です。顎の骨が成長するこどもの時期を利用して歯列を広げ、永久歯が生えるスペースを作ります。「顎の骨を広げる」と聞くと驚くかもしれませんが、顎の成長を促す治療であり、大掛かりな手術などは行いません。
顎を広げる小児矯正を行うことで永久歯の歯並びが整いやすくなりますが、それだけでは永久歯の歯並びが完全に整うわけではありません。必要に応じて、永久歯が生えそろってから大人と同じような矯正治療を行います。
顎を広げるメリット・効果
顎を広げる小児矯正の治療を行うことは、将来の歯並びや治療によい影響を与えます。メリットや効果を具体的に確認しましょう。
抜歯の可能性が低くなる
歯の矯正治療では、抜歯をすることがあります。主に、顎が小さく歯が生えるスペースが足りない場合に行います。
こどものうちに顎を広げて歯が生えるスペースを作ることができれば、将来本格的な矯正治療をした際の抜歯の可能性を低減できるでしょう。
将来の矯正の治療期間が短くなる
顎を広げる小児矯正は、矯正治療の1期治療ともいわれます。永久歯列に行う矯正治療を2期治療といいます。
1期治療で顎を広げて永久歯の歯並びを整いやすくすることで、2期治療を行うときにスムーズに治療が進むでしょう。2期治療を行わなくてよい可能性もあります。
永久歯の生え方をコントロールできる
小児矯正をしながら、永久歯の生え方をコントロールすることができます。乳歯が抜けるタイミングを操作し、永久歯がずれて生えないようにするのです。
例えば、乳歯が長い期間抜けずに残ると、乳歯を避けて永久歯が生えようとするため、適切な位置に生えない場合や、ねじれてしまう場合があります。
顔のバランスを整えることができる
顎の健やかな発育を促すことは、顔のバランスを整えることにもつながります。顎の成長に偏りがあると、歯並びだけでなく顔貌にも影響するのです。
大人になってから顎の歪みを治すのは非常に大変です。成長期に顎のバランスを整えることで、顔のバランスも整うでしょう。
顎を広げるデメリット
どんな治療にもメリットとデメリットがあるように、顎を広げる治療にもデメリットがあります。デメリットをよく理解したうえで、治療を行うか判断しましょう。
顎を広げる治療を受けるデメリットは、以下のとおりです。
治療期間が長くなることがある
顎の成長には個人差があります。成長に合わせて治療を行うので、治療期間が長くなることがあります。
将来、本格的な矯正治療を行う場合は、矯正している期間が非常に長くなるでしょう。
治療の結果には個人差がある
歯や骨の動き方には個人差があります。治療計画どおりに進まないこともあるので注意しましょう。
取り外し式の顎を広げる装置を使う場合は、1日の装着時間を守るなど、自己管理が大切です。
虫歯のリスクが高まる
お口の中に装置を装着していると、汚れが溜まりやすいです。汚れが残っていると虫歯になる可能性が高いので、丁寧な清掃が必要です。
歯並びが整っても虫歯があっては意味がありません。虫歯にならないよう注意しましょう。
不快感や痛みがある
お口の中は繊細なので、異物が入ることで不快感をおぼえる方も多いです。また、顎を広げる際は、多少の痛みがでます。
大人よりこどものほうが不快感に慣れやすく、顎や歯を動かす際の痛みも少ないといわれています。
顎を広げる方法
顎を広げるには、顎を拡大するための装置を装着しなければなりません。拡大装置は、大きく分けて取り外し式のものと固定式のものの2種類があります。それぞれの特徴を確認しましょう。
取り外し式装置
拡大床ともよばれ、プラスチック性のプレート・金属のワイヤー・力を調節するためのネジから作られます。プラスチック性のプレートのない、スケルトンタイプもあります。
取り外しが可能なので、歯磨きの際や食事の際に取り外すことができますが、1日8時間以上の装着が必要です。装着時間や装着方法など、自己管理をしっかりと行わなくてはなりません。
固定式装置
全体が金属のワイヤーで作られた装置です。6歳臼歯などに装置の一部をセメントでつけ、ワイヤーを固定します。
取り外しはできないので管理をする煩わしさはありませんが、汚れが溜まりやすいことがデメリットです。毎日の歯磨きを丁寧に行う必要があります。
適応年齢と治療期間
顎を広げる治療の適応年齢は、個人差が大きいため一概にはいえませんが、6歳〜11歳前後です。
顎の骨が成長する時期に行うため、ベストな時期には個人差があります。永久歯が生え始める年齢になったら、矯正相談を受けるとよいでしょう。お子さまに適した時期に始めることで、治療がスムーズに進みます。
治療期間は顎の発達状況で変わりますが、2年程度になることが多いです。
顎を広げるときに痛みはある?
顎を広げる治療は、歯や顎の骨に力がかかるので、まったく痛みがないわけではありません。
ただし、顎の成長を利用するので、大人が矯正治療で歯を動かすときほどの痛みはありません。痛みが強い場合は、歯にかかる力を少し弱めるなどの対策を行います。
まとめ
顎を広げる小児矯正方法は、将来の永久歯の歯並びを整えるための土台を作ることが目的です。治療を行うことで、永久歯がきれいに並びやすくなります。また、顎を広げる治療を受けられる時期は限られています。こどもの歯並びに不安を感じている方は、永久歯への生えかわりが始まる前に相談しましょう。
顎を広げる小児矯正を検討されている方は、京都府京都市左京区にある医療法人社団 京都下鴨ライフ歯科・矯正歯科・小児歯科にご相談ください。
奥村 亮司