こんにちは。京都府京都市左京区にある医療法人社団 京都下鴨ライフ歯科・矯正歯科・小児歯科です。
歯に比べて歯茎は目立ちにくいですが、以前よりも黒ずんで見える、健康的に見えないなどのお悩みを抱える方がいるかもしれません。歯茎が黒ずむのは、虫歯や歯周病、金属の被せ物や詰め物、喫煙など、さまざまな原因が考えられます。
そのため、黒くなる原因を知り、原因に合わせた対処法を講じることが大切です。
今回は、健康的な歯茎の状態を確認しながら、5つの歯茎が黒くなる原因を解説します。歯茎が黒くなったまま放置してはいけない理由や、歯茎が黒くなったときの対処法もご紹介するので、ぜひ参考にしてください。
健康な歯茎の状態とは?
口腔内の健康を確認する際は、歯だけでなく歯茎に注目することも大切です。健康的な歯茎の特徴を確認しましょう。
ピンク色やピンクがかった赤色である
健康な歯茎は、基本的にはピンク色です。紫がかった赤色や、黒っぽい赤色、濃い赤色の場合は、セルフケアが不十分で歯茎の健康状態が悪化している可能性があります。
引き締まっている
健康な歯茎は引き締まっています。不健康な歯茎はハリがなく、ぷよぷよとしていることが多いです。
歯と歯の間が三角形である
歯と歯の間は、三角形であるのが健康的な歯茎の状態です。
表面にスティップリングが見られる
歯周組織に含まれているコラーゲンの状態がよいと、歯茎の表面に細かい窪みが見られます。スティップリングとよばれる、健康的な歯茎の特徴です。
歯垢や歯石が付着していない
衛生状態が悪く、不健康な歯と歯茎の境目には、歯垢や歯石が付着します。
適切な長さである
歯茎が不健康な状態だと、歯肉退縮という症状が現れます。歯茎が下がり、歯が長く見えることがあるでしょう。
健康的な歯茎の場合、歯が露出する範囲が広くありません。
出血しない
特に、歯間ブラシやデンタルフロスを使った際に、不健康な歯茎は出血しやすいです。健康な歯茎は引き締まっているため、出血することはありません。
歯茎が黒くなる5つの原因
歯茎が黒くなる原因は、以下のとおりです。
喫煙習慣
喫煙習慣があると、歯茎に多くの悪影響を及ぼします。タバコに含まれるニコチンやタールなどの成分が、歯茎のメラニン色素の生成を促します。過剰にメラニン色素が生成されると、歯茎の色素沈着や黒ずみの原因となるのです。
さらに、タバコの煙に含まれる有害物質は、歯の表面に付着しやすいです。歯垢や歯石の形成を促進するでしょう。黒い歯石が付着すると、歯茎も黒ずみます。
金属の詰め物や被せ物
口腔内に金属製の詰め物や被せ物がある場合、金属イオンが唾液に反応して少しずつ溶け出し、歯茎が黒ずむことがあります。メタルタトゥーとよばれる現象ですが、歯茎に色素が沈着すると黒ずんで見えるでしょう。
近年では、金属を使用しない詰め物や被せ物が増えています。メタルタトゥーによる歯茎の黒ずみのリスクは低減しているといえるでしょう。
従来の保険適用の治療では金属製の詰め物・被せ物が一般的でしたが、現在はセラミックやジルコニアなどの非金属製の素材も広く利用されています。
金属製の詰め物や被せ物による色素沈着が気になる場合は、非金属製のものに交換するとよいでしょう。
重度の歯周病
歯周病が進行して重症化すると、歯茎から膿が出るようになり、歯茎が黒ずんで見えます。放置するといずれ歯が抜け落ちるので、早急に治療する必要があるでしょう。
歯の神経の壊死
虫歯によって歯の神経を取り除いた場合や、怪我などで神経が死んだ場合、その歯には栄養分が届かなくなります。血液や栄養が供給されなくなった歯は、徐々に黒ずむのです。
歯茎に埋まっている歯が黒くなるため、歯茎も黒く見えるでしょう。
永久歯への生え変わり
永久歯に生え変わるときに、歯茎の中の血管が破れて内出血を引き起こすことがあります。歯茎が黒っぽく見えることもあるでしょう。
生え変わりによって歯茎が黒く見えても、自然ともとの状態に戻ることが多いです。
歯茎が黒いまま放置してはいけない理由
歯茎が黒くなる原因は数多くありますが、永久歯への生え変わりを除いて、通常は自然に改善されることはほとんどありません。歯茎が黒くなると、不衛生に見えるなど、審美性を大きく損なう可能性があります。
原因によっては、放置することで歯の健康が損なわれる可能性もあるでしょう。特に、虫歯や歯周病が原因だった場合、症状が進行すると歯の喪失につながります。
症状が深刻化すると、治療も困難になります。歯茎を切開して汚れを除去するなど、身体的な負担が大きい治療を受けなければならない可能性もあるでしょう。
治療が困難になる前に、早めに歯科医院に相談してください。歯周病が進行して歯茎が黒くなった場合でも、地道な治療で徐々に改善することが多いです。
色素沈着による黒ずみの場合も、歯科医院で相談すれば適切な治療法を提案してもらえることがあります。放置せず、清潔な口内環境を保つことが重要です。
歯茎が黒くなったときの対処法
歯茎が黒くなったときの対処法は、以下のとおりです。
ガムピーリングを受ける
喫煙などが原因で、メラニン色素によって黒ずんだ歯茎は、ガムピーリングによって治療可能です。ガムピーリングには以下の2種類があり、歯科医院によって対応している方法が異なります。
ケミカルピーリング
色素沈着した歯茎に薬剤を塗布して、黒ずみを改善する治療法です。タンパク質を変性させる作用のある薬剤を使用するので、歯茎を健康的な色に戻す効果が期待できます。
治療回数は、色素沈着の程度によって異なります。
レーザーガムピーリング
色素沈着した部分にレーザー光を照射することで、歯茎をきれいにする方法です。1~2回の治療で効果を感じられることが多いです。
歯茎へのダメージが少ないことがメリットでしょう。
詰め物や被せ物の素材を変える
金属の詰め物や被せ物から金属イオンが溶け出したことが原因で歯茎が黒くなった場合、歯茎の色を改善しても再び黒ずむ恐れがあるでしょう。同じ材質を使用している限り、歯茎が黒ずむリスクはなくなりません。
メタルフリーの素材に詰め物や被せ物を変更するとよいでしょう。
自由診療になると費用が高額になりますが、メタルタトゥーのリスクを下げられるだけではなく、審美性・耐久性も高められます。ジルコニアやセラミック、e-max などが人気の素材です。
保険適用の範囲内でもメタルフリーの素材はあるので、ご自身の希望に合わせて選択しましょう。
歯科医院のメンテナンスを受ける
進行した歯周病によって歯茎が黒ずむこともあります。歯周病は、ご自宅でのセルフケアだけでは改善が難しいことがあります。
プロフェッショナルなメンテナンスを歯科医院で受けるとよいでしょう。
歯科医院では、スケーリングやルートプレーニングを行って、歯垢や歯石を取り除きます。歯周ポケット内に歯石が深く入り込んでいる場合は、歯茎を切開して歯石を除去することもあるでしょう。
定期的に歯科医院でプロフェッショナルなメンテナンスを受けながら、ご自宅で適切なセルフケアを行えば、歯周病は徐々に改善されます。歯茎の色も改善されるでしょう。
まとめ
歯茎の健康は、口腔内の総合的な健康状態を示すバロメーターといえます。歯茎がきれいな状態を維持できるよう、丁寧なセルフケアを心がけ、定期的に歯科医院でメンテナンスを受けることが大切です。
喫煙が原因でメラニン色素が増加し、歯茎が黒ずんだ場合は、歯科医院でのガムピーリングが効果的でしょう。金属の詰め物や被せ物が原因で色素沈着が生じている場合は、メタルフリーの素材への交換を検討してください。
将来的な色素沈着のリスクを減らしながら、審美性・耐久性・機能性を向上できます。
歯茎が黒く変色した場合には、原因に応じて適切に対応する必要があります。まずは歯科医院を受診して相談するとよいでしょう。
歯茎の色を改善したい方は、京都府京都市左京区にある医療法人社団 京都下鴨ライフ歯科・矯正歯科・小児歯科にご相談ください。
奥村 亮司